●「マルチメディア千葉」のオープンで注目のヨドバシカメラ
ヨドバシホールディングス(ヨドバシHD)は非上場だが公表している24年3月期の売上高は7560億円(同97.2%)の減収だった。17年3月の6580億円(同96.8%)を底に、6期連続で増収を続けてきたが、ここにきて減収に転じた。
コロナ禍のテレワーク需要やおうち時間を過ごす調理家電などECの「ヨドバシ・ドット・コム」が好調すぎて、その反動減というのが大方の見方だ。ただ、24年3月期の経常利益率8.0%というずば抜けた利益率の高さは健在である。
ヨドバシカメラ マルチメディア千葉
24年11月15日、ヨドバシカメラ千葉店を移転してオープンしたマルチメディア千葉は、売場面積が約1万3200平方メートルで旧店舗の約3倍、JR千葉駅から徒歩2分という好立地。23年8月末に閉館した、そごう千葉店の別館「旧ジュンヌ館」をリニューアルした店舗だ。
22年に米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループがそごう・西武を買収した後の1号店としても注目を集める。フォートレスはヨドバシHDをビジネスパートナーに選定している。
多くの商品が体験・体感できる(マルチメディア千葉)
ヨドバシHDはフォートレスを通じて土地や建物などを取得し、マルチメディア千葉が入る建物の名称をヨドバシHD千葉ビルとした。
地下1階~地上17階のうち売り場は1~4階。地下1階にはユニクロとABCマート、JINSがテナントとして入店し、5~17階と屋上は1680台収容の駐車場(タイムズヨドバシ千葉)となっている。駅前立地ながら巨大な駐車場を兼ね備えて買い物の利便性を高めるのもヨドバシ流だ。
そもそも同店は、フォートレスによるそごう・西武の買収が報じられた際、パートナーであるヨドバシの池袋(西武池袋本店)と渋谷(西武渋谷店)、千葉(そごう千葉店)への出店意向も合わせて報じられていた。
試せることを全面に押し出している(マルチメディア仙台)
マルチメディア千葉のオープンは、24年3月期の減収分224億円を回収するのに十分だろう。本丸である西武池袋本店の改装も進んでいる。西武池袋本店は25年1月から段階的にリニューアルオープンを行い、今夏にグランドオープンする予定だ。
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●体験型ビューティーストアの新業態に挑戦
最後に、西武池袋線の池袋駅東口改札を出てすぐのところに24年4月に出店した新業態の体験型ビューティーストア「Yodobloom(ヨドブルーム)池袋店」にも触れたい。
新業態「Yodobloom(ヨドブルーム)池袋店」
スキンケアやヘアケアに関する店内のすべての商品を購入前に比較しながら体験できる。Yodobloom公式アプリでは、予約が必要な体験コースを用意しており、エステシャンや美容師が肌や頭皮診断からカウンセリングして、顧客に合った美容家電やシャンプー、トリートメントなどを提案する。
もちろん、予約不要のメイクアップ体験や肌・頭皮の診断体験、理美容家電体験などもある。ヨドバシHDの新業態へのチャレンジによる今後の発展、進化にも注目したい。(BCN・細田 立圭志)