スマホは本当にトイレ便座よりも細菌が多い? / Credit:Canva,ナゾロジー編集
「スマホはトイレ便座よりも雑菌が多い」とよく耳にします。
これは本当でしょうか。
もしこの言葉が事実なら、私たちは日ごろ、トイレの便座を手で撫でまわすよりも汚い行為を続けていることになります。
また、スマホの使用でウイルスに感染することはあるのでしょうか。
それらの答えについて、専門家の声を聞いてみましょう。
目次
スマホはトイレ便座よりも細菌が多いスマホはトイレ便座よりも「汚い」のか?スマホ掃除はトイレ掃除よりも頻繁に!
スマホはトイレ便座よりも細菌が多い
スマホは現代人にとってなくてはならない存在です。
職場、通勤中、ソファー、食卓、ベッド、ありとあらゆる場所でスマホを使用します。
トイレにスマホを持っていく人もいることでしょう。
もしスマホにトイレ便座よりも多くの雑菌が存在しているのであれば、私たちはその雑菌たちと生活を共にしていることになります。
では、スマホはトイレ便座よりも本当に細菌が多いのでしょうか。
悲しいことですが、専門家たちによると、その答えは「はい」です。
確かにスマホは、トイレ便座よりも細菌が多い / Credit:Canva
どうしてそう言えるのか、考えてみましょう。
そもそも、細胞にはそれぞれ細菌が存在しており、人体全体には10~100兆もの細菌がいます。
私たちにこれだけ多くの細菌が存在していることを考えると、スマホの画面にも大量の細菌がいたとしても何ら不思議ではありません。
実際、エストニアのラルトゥ大学(University of Tartu)による2017年の研究では、中学生のスマホ27台が分析され、1台あたり1万7000個もの細菌(正確には細菌の遺伝子コピー数)が存在すると報告されました。
(※細菌そのものをすべて数えることは難しいため、遺伝子のコピー数を調べることで細菌の存在量を推定します)
これはトイレ便座の約10倍にあたります。
確かに、スマホにはトイレ便座よりも細菌が多く存在しているのです。
では、この事実からすると、スマホがトイレ便座よりも汚いと言えるのでしょうか。
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スマホはトイレ便座よりも「汚い」のか?
オーストラリアのボンド大学(Bond University)による2020年の研究では、24カ国で行われた56件の研究が分析され、一般的にスマホに存在する細菌種を特定しました。
大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、サルモネラ菌などです。
これらは免疫力が低下した人に対して脅威となる場合があります。
大腸菌の電子顕微鏡写真 / Credit:Wikipedia Commons_大腸菌
例えば、大腸菌はスマホに最も多く見られる細菌の1つです。
人間や動物の腸内に存在し、便の中にも見られます。
そのためスマホに大腸菌が存在するということは、スマホにも微量の便が付着している可能性が高いということです。
トイレにスマホを持っていくことが何を意味するか考えると良いでしょう。
また黄色ブドウ球菌もスマホに多く含まれています。
ほとんどの場合で無害ですが、免疫力が低下した人の体内に入ると、皮膚感染症や肺炎など、様々な問題を引き起こす恐れがあります。
そしてこのような細菌が、スマホの表面にトイレ便座よりも多く存在することを考えると、確かに「スマホはトイレ便座よりも汚い」と言えるでしょう。
スマホには様々なウイルスも存在している / Credit:Canva
さらに、カナダのアルバータ大学(University of Alberta)に所属する公衆衛生学者ニコラス・アッシュボルト氏は、「スマホにはインフルエンザやノロウイルスなど、様々なウイルスが存在している」と指摘しています。
そのため、スマホを触った後に目をこすったり、何かを食べたり、誰かと握手したりするなら、それらによって病気になるリスクが高まります。
私たちはスマホをいつも持ち歩いていますが、そのスマホを通して感染が広まる可能性もあるのです。
では、スマホを扱っていく上で気をつけるべきことは何でしょうか。