石破茂 (C)週刊実話Web
【石破政権の落日(3)】
少数与党による厳しい政権運営を強いられている石破茂首相(67)は、立憲民主党に配慮しつつ、自公国か自公維の路線に活路を見出す構え。だが、野党の主張を丸のみし、変節を繰り返す姿勢に自民党内の不満は高まる一方…。「石破おろし」の攻防戦が始まろうとしている。
【石破政権の落日(2)】「官邸にはいまだ『司令塔』がいない」永田町スズメが“異様さ”を訴える石破首相の求心力低迷と孤立ぶり
党関係者からは「失速する官邸の典型」
衆院選でボロ負けし、少数与党となった自民党を率いる石破首相は、他党の有力議員らをあの手この手で懐柔することで延命策を講じているが、官邸内には“腹心”と呼べる議員が皆無。首相が孤立して「石破カラー」といえる政策の打ち出しも弱いため、霞が関全体が動かず政権に推進力も生まれない。
まさに「失速する官邸の典型」(党関係者)といっても過言ではない状態なのだ。
ただし、自民党内に至ってもこの状況は変わらない。先の総裁選で首相と大接戦を演じた高市早苗前経済安全保障担当相の選対に入っていた中堅議員によると「執行部への面従腹背を決め込む議員が多く、森山裕幹事長も首相と同じく孤立気味なっている」という。
「衆院選で非公認となった裏金候補にも、選挙資金として2000万円を支出した責任者は森山氏だ。有権者の強い批判を浴びて厳しい戦いを強いられた恨みは、みな忘れていない。そうした党内事情も反映されているのです」(同)
一方、臨時国会で政治倫理審査会に出席し、弁明を済ませた裏金議員を含む旧安倍派の約30人は、「みそぎは済んだ」として積極財政の推進や選択的夫婦別姓の問題点などを考える勉強会の開催を検討中だ。
この一派は闇バイト問題で首相に提言を手渡した高市氏との連携も模索しており、年が明けて1月下旬に通常国会が始まれば、「執行部の動きをけん制する反主流派の牙城になる可能性がある」(中堅議員)との見立てもある。
また、麻生太郎党最高顧問と茂木敏充前幹事長は、今は静かにしているものの、先の中堅議員は「自民党結党70年の党大会が3月にあり、それまでに高市、麻生、茂木の3派連合をつくるはず。旧安倍派議員も加われば80人規模の勢力で首相に対抗できる」と言う。
2025年度予算の成立と引き替えに支持率の低迷した首相が退陣に追い込まれる可能性も捨てきれない状況なのだ。
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春までが石破政権最大の窮地か
もっとも、党内には高市、麻生、茂木の3氏以上に「石破おろし」が起きないかと目を凝らしている人物がいるという。それが他でもない、岸田文雄前首相なのである。
岸田氏は「岸田政権の政策を継続する限りは石破政権を支える」と周囲に話しているように、石破首相の政権運営に協力する姿勢を鮮明にしている。
実際、林官房長官に加えて小野寺五典党政調会長、木原誠二党選対委員長、宮澤洋一党税調会長ら旧岸田派の実力者が政権を要所で支えており、旧岸田派なくして石破政権の運営は成り立たないと言えるだろう。
だが、賃金の大幅増など岸田政権の政策を継続できず、いよいよ政権運営に行き詰まった場合はどうするのか。岸田氏は同じく周囲に「俺しかいないだろ」と話し、再登板への意欲を隠していないという。
昨年11月下旬、岸田氏が党内に「資産運用立国」推進の議員連盟を40人以上の規模で立ち上げたのは、その足場固めに他ならない。12月18日の会合には、自身が内閣府に設置した「新しい資本主義実現本部」の事務局幹部を集め、健在ぶりをアピールしてみせた。
果たして、石破政権はどこまで続くのか。立憲民主に配慮しつつ、予算成立に国民民主や維新の協力が得られれば、4月は迎えられる。だが、政権が低迷すれば、裏金議員や高市氏らの反主流派が「石破おろし」に動くのは確実だ。
そのとき、鍵を握る岸田氏が倒閣に舵を切れば、石破首相は絶体絶命となること必至なのだ。
いずれにしても、首相がこの窮地を乗り越えられるかどうかが見もの。夏の参院選を前にした2025年最大の政局となることは間違いない。
「週刊実話」1月9・16日号より一部内容を変更