2025年の幕開けとなる現地1月1日に行なわれた元日ゲームで、特別な体験をした選手がいる。ニューヨーク・ニックスのルーキーPG、タイラー・コーレックだ。
彼はこの日、午後1時にティップオフのウエストチェスター・ニックス対インディアナ・マッドアンツ戦にスターターとして出場した後、夜にはニューヨーク・ニックスの一員としてユタ・ジャズ戦に出場するという、ダブルヘッダーをやってのけた。
しかもマッドアンツ戦はオーバータイムにもつれ込む激戦となり、コーレックは約40分間プレー。キャリアハイの36得点、11アシストの活躍で117-114 の勝利に貢献すると、すぐに会場のウエストチェスター・カントリーセンターから45kmほど南西に下ったマディソンスクエア・ガーデンに移動して、夜7時半開始のジャズ戦に臨んだのだった。
同ポジションのジェイレン・ブランソンとマイルズ・マクブライドが負傷によりこの日の試合を回避することになったために急遽招集された形だが、試合後、この“無茶ぶり”についてコーレックは、大変だったのは体力面よりも「メンタル的なものだった」とコメントしている。
「選手2人がケガで欠場となってしまったので、その穴埋めをする必要があった。でも、たとえどんな状況だろうと、準備万端で臨む必要があるからね」
コーレックは12分間コートに立って2得点、4アシストと控えPGの仕事をこなし、試合は119-103でニックスが勝利を収めた。
コーレックは2024年のNBA ドラフトで、ポートランド・トレイルブレイザーズから全体34位指名を受け、その後トレードでニックス入り。主力メンバーを固定することで知られるトム・シボドーHCの下、起用されても10分未満の出場が多く、12月に入ってからは実戦経験を養うべくGリーグに送られていた。
12月13日のカレッジパーク・スカイホークス(アトランタ・ホークス傘下)戦では30得点、6リバウンド、10アシストと躍動。この試合を視察したシボドーHCは、「非常に良いプレーをしていた。彼はオフェンス面で素晴らしい感覚を持っている。必要なのは、このまま努力を続けること。他の若い選手同様、課題はディフェンス、そしてそこに伴う様々なことをより理解することにある。彼の成長ぶりには非常に好感触を抱いているよ」と高評価を与えている。
ちなみに、同日にGリーグとNBAの両試合に出場したのはコーレックが最初ではなく、2007年に当時ロサンゼルス・レイカーズのルーキーだったジョーダン・ファーマーが初めて経験している。
GリーグとNBAで1日に2度も勝利を味わうという、コーレックにとってなんともめでたい正月になったのだった。
文●小川由紀子