マインツと佐野海舟が好調だ。リーグ屈指のオフェンス力を誇るフランクフルトと対戦した15節では、21分にドイツ代表経験のあるMFナディーム・アミリが一発レッドで退場というアクシデントがありながら、粘り強いクレバーな試合運びで3-1と勝利を飾っている。
フランクフルトのドイツ代表DFロビン・コッホが「なぜ負けたのかわからない」とぼやくほど、スタッツでは圧倒的にフランクフルト優位だった。
ドイツ代表GKケビン・トラップ欠場でゴールマウスを守ったブラジル人GKカウアン・サントスが不安定なプレーで失点を招いたのも敗因のひとつだ。また、15節までリーグMVP級の活躍を見せていたエジプト代表FWオマール・マルムシュとクリエイティブなプレーで変化をつけるフランス代表FWユーゴ・エキティケの2トップも沈黙した。
一方で、彼らへのパス供給源をうまくつぶし続けたマインツの戦略には賛辞に値する。
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「前半早い段階で得点を決められたし、1人少ない中でも点を取れたというのはとても大事なことだと思います。前半に守備のところでちょっと整理できてなかったところはあるんで、そこは修正点。ハーフタイムにうまく修正できた。後半はチーム全員でしっかり粘り強く守れたかなと思います」
佐野がそう試合を振り返っていたように、5バックの前に佐野ら3人のMFがコンパクトな布陣を敷き、センターのスペースをうまく消せていた。サイドに展開されても、スムーズなスライドとゴール前でのハードマークで対応。そして早い時間帯の味方のレッドカードにも冷静に対処したのも大きい。
「まあ、仕方ない。戻せるものでもないんで。そこにフォーカスするよりは、これからどうやっていくかにフォーカスしたほうがいいと思うんです。チーム全員が切り替えてやれていたと思うし、退場したナディームのためにも、全員が身体を張ってやれたと思います」
それにしても、だ。開幕前、それこそ残留が最大の目標で、6節終了時の勝点がわずか8だったマインツが、5位まで浮上。ここまで上昇気流に乗るとはだれが予想しただろう。
今シーズンにバイエルン、ドルトムント、フランクフルトに勝ったクラブは他にない。快進撃の原動力となっている佐野は、ここまでのポテンシャルがあると、感じていたのだろうか?
「監督は常に自信を持てっていうふうに言ってくれてますし、今のチームはすごく自信も持ってるし、勢いもあると思う。上位のチームは上位のチームなりの難しさがあると思うんで、そこの隙をしたたかに狙えているのかなと思います。1週間の積み重ね、対戦相手の対策がうまくいってるし、対策がある中でも、自分たちのやるべきことを出すっていうのができてきているし、それが続いているからかなと思います」
マインツの過去最高の戦績はトーマス・トゥヘルが指揮した2010-11シーズンの5位。岡崎慎司がシーズン15得点をマークし、7位でフィニッシュした13-14シーズン、武藤嘉紀が活躍し、6位でヨーロッパリーグ出場権を獲得した15-16シーズンが続く。15節で勝点25をあげている今のマインツはそれに勝るとも劣らないポテンシャルを感じさせる。
そして、そのチームでいまや不可欠な存在になっているのが佐野なのだ。
取材・文●中野吉之伴
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