「ドラゴンクエスト」のアイテムにまつわる短編集『アイテム物語』には、「けんじゃのいし」の衝撃的な設定が記されていました。
『ドラゴンクエストアイテム物語』(スクウェア・エニックス)
【画像】え…っ?「うわ想像したら気持ち悪くなってきた」こちらが「けんじゃのいし」のなかに閉じ込められている(?)モンスターです
だから「ベホマラー」の効果だったのか…… スピンオフで明かされる衝撃設定
「ドラゴンクエスト」シリーズには、冒険を助けるアイテムがたくさん登場します。なかでも「手に入るとうれしいアイテム」の筆頭といえば、「けんじゃのいし」ではないでしょうか。
けんじゃのいしは『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の「ゾーマ」の城で初登場したアイテムで、戦闘中に使用すれば味方全員のHPを回復してくれるものであり、けんじゃのいしの有無がその後の難易度を左右するほどの重要アイテムでもあります。
けんじゃのいしは『ドラクエ3』以降もレギュラー入りを果たし、どのタイトルにおいても物語の後半で登場するのがおきまりです。そのため、喜びとは別に「この冒険もあと少しか」などと、感慨が押し寄せることもしばしばでした。
さて、このけんじゃのいしのビジュアルもおおむねタイトルを通じて共通しており、青色の宝石に持ち手となる柄と頂点に、装飾が施されたものが用意されています。なお青色の宝石は綺麗にカッティングされたものと、無骨な原石風のものの2種に分かれています。
いずれにせよ、この青い宝石部分にこそ神秘の力が込められているのですが、この宝石の中身に関しては、次のようなうわさがあるのをご存知でしょうか。
「けんじゃのいしのなかには 大量のホイミスライムが封印されている」
ぱっと見で「そんなわけないだろ」と笑ってしまう一方で、心のどこかで納得しそうになるから不思議です。確かに青いですし、回復といえば「ホイミスライム」です。さてこのうわさが全くの嘘かといえば、どうも違うようなのです。ちゃんと出典がありました。
それが1989年にエニックス(現:スクウェア・エニックス)より刊行された、『ドラゴンクエスト アイテム物語』です。こちらは、本編では語られなかった「アイテム」の秘密にまつわる物語がいくつも収録された短編小説集であり、スピンオフながらも「制作エニックス出版局」としっかりクレジットされている本でした。
同書によれば、まずけんじゃのいしというものは、ゾーマ自身が「広大な宇宙空間を圧縮して石状」にしたものであることが明かされます。ゲーム内はともかく、少なくとも『アイテム物語』の設定においては、けんじゃのいしそのものはゾーマが生み出したとされていました。さて本文中、石が割られる場面では次のように書かれています。
「石の中からは、何百、何千、何億ものホイミスライムがもそもそとはい出ていたのです。」
……想像よりもはるかに多く、けんじゃのいしには「ホイミスライム」が閉じ込められていました。まさかの億単位です。なぜゾーマがホイミスライムたちをこんなに圧縮していたのかは不明ですが、無限に使えるという性能を担保するには十分すぎる数です。
仮に今後、大量に仲間にしたホイミスライムを「錬金」することによって、けんじゃのいしを生み出せるようになったとしたら……勇者としての良心が試されますね。