富士山噴火の被害総額は数百兆円!?
南海トラフ地震に関連して、富士山の噴火も予想されている。
日本周辺にはフィリピンプレートとユーラシアプレートのほか、北米プレート、太平洋プレートの境目があり、前記の3つがぶつかり合うところに富士山がある。
そのため、南海トラフ地震が起きてプレートの動きが活発化した際は、富士山にも影響を及ぼす危険度が高いのだ。
子どもの頃に「富士山は休火山」と学校で習った人もいるだろうが、現在では休火山という分類がなくなっている。
1979年には、それまで死火山と分類されていた木曽御嶽山が噴火した例もあり、富士山の噴火も十分に起こり得る。
警察庁においては「噴火対策」として、首都圏をはじめとする各地の警察に粉じん防護マスクを配備するなど、極めて現実的な問題と考えられている。
富士山の噴火による被害は、その規模や噴火前後の天候、風向きなどによっても違ってくるが、最悪の場合、東京・新宿近辺でも累積10センチ近い降灰があると推定されている(内閣府「中央防災会議」の報告書より)。
そうなると首都圏の交通機能が麻痺することはもちろん、火山灰が精密機器に入れば誤動作や故障が頻発し、雨が降れば電気設備に付着して停電が起きることも考えられる。
火山灰の付着、火山ガスによる農作物の変色や損傷、土壌環境の悪化や日照不足による発育不良、さらには人間が直接吸い込むことでの健康被害もあって、その被害総額はやはり数百兆円にも上ると予測されている。
ともかく南海トラフ地震や富士山噴火が、遠くない将来の現実的な危機であることは確かであり、2025年7月どころか明日に起きても不思議ではないのだ。
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大規模な太陽フレアが起きたときの被害は…
大災害の要因としてもう一つ考えられるのが、太陽の表面で起こる巨大な爆発現象「太陽フレア」である。
2022年、総務省は太陽活動の観測や影響の予報を強化するため、有識者会議「宇宙天気の高度化のあり方に関する検討会」を立ち上げた。
この検討会は「宇宙天気予報士」の制度化や、宇宙天気の予測強化を国に提言している。
宇宙天気とは、太陽と地球の間で起きる現象を指す。
太陽フレアが発生すると、そこから噴き出したガスの流れで太陽風が起こり、これが地球に届くと磁場が荒らされ、さまざまな障害が発生する。
1989年3月にはカナダのケベック州で、太陽風が原因と見られる大規模停電が発生し、およそ600万人が影響を受けている。
また、太陽風だけでなく強力なX線や電磁波、放射線粒子も放出されるため、人工衛星の故障や、それにともなうGPS(グローバル・ポジショニング・システム)の異常にも警戒しなければならない。
総務省の有識者会議では、大規模な太陽フレアによる電磁波が2週間連続で地球に到来した場合、最悪のシナリオとしてスマートフォンの通信障害、航空機の運航抑制、広範囲に及ぶ大規模停電などを挙げている。
太陽フレアについてはある程度の事前予測も可能で、日本では20年ほど前から国の情報通信研究機構(NICT)が発信を行っている。
太陽フレアを予測する際の指標になるのは、太陽表面にある黒点で、その数や大きさを分析すると発生確率や規模が分かるのだという。
だが、ある程度まで分かったとしても、社会生活全般にわたり衛星通信の重要度が増している現代社会において、大規模な太陽フレアが起きたときの被害がどこまで及ぶのかは計り知れない。