Credit: Earth Unreal(facebook, 2023)
キノコとは一般に、菌類が胞子を散布するために作り出す器官(=子実体)を指します。
キノコには小さなものから大きなもの、食べられるものから猛毒のあるものまで、多種多様な種類が知られています。
その中でも一際小さくて、妖精のように愛らしいキノコが2022年に台湾で発見されました。
さらにこのキノコは幼い時期にだけ姿を現す「幻のキノコ」だったなのです。
目次
期間限定で現れる「幻のキノコ」を発見!
期間限定で現れる「幻のキノコ」を発見!
妖精のようなキノコが見つかったのは今から2年前に遡る2022年11月17日のことです。
台湾在住の薬剤師であったエリック・チョウ氏(当時32歳)は、台北市士林区にある自然道でそのキノコを発見しました。
きっかけは友人から「士林区の自然道に特別に小さなキノコを見かけた」との連絡を受けて、直接探しに行ったのだといいます。
そこでチョウ氏が見つけたのは、幽霊のように淡い白さを持つ細長いキノコでした。
このキノコ自体は2019年12月に初発見されて、新種として学術記載された「マイセナ・サブシアノセファラ(Mycena subcyanocephala)」であることが判明しています。
実際の画像はこちらから。
マイセナ・サブシアノセファラは台湾の暖かい地域に生息する菌類の一種であり、食用ではありません。
チョウ氏は「本種が夜に発光しないかどうか」を確認するため、キノコが付着した木片を小さな木片を家に持ち帰って観察しました。
チョウ氏は毎日霧吹きをかけて水をあげていたといいますが、残念ながら、キノコが夜間に発光することはありませんでした。
ところが家に持ち帰って3カ月以上が経った2023年3月7日のこと。
いつものように霧吹きをしようと思ったら、木片に非常に小さくて青色のかさをもった妖精のようなキノコが生え出ていることに気づいたのです。
チョウ氏が自身のインスタグラムに掲載した実際の写真がこちら。
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青いキノコの高さはわずか1ミリしかなく、これは世界で最も小さなキノコの一つとなっています。
現在、世界最小のキノコとして知られるのは、約1〜4mの円盤状のキノコを作るビョウタケが有名です。
そしてチョウ氏が観察を続けた結果、青いキノコは成長を続け、最初の持ち帰った白く細長いマイセナ・サブシアノセファラへと変化しました。
つまり、この青いキノコはマイセナ・サブシアノセファラの幼い時期にだけ現れる期間限定の神秘的な存在だったのです。
のちの研究で、ミニキノコが発する綺麗な青色は、一部の一部の藻類やシアノバクテリアにも含まれるシアノフィオシアニンと呼ばれる色素によるものと判明しました。
チョウ氏がSNSで紹介した日から、青いキノコはその神秘的で愛らしい見た目から、たちまち多くの反響を呼んでいます。
参考文献
New Species Of Mushroom Discovered In Taiwan And It Looks Absolutely Magical
https://canyouactually.com/mycena-subcyanocephala/
Photo of the Day: Magical mini mushroom spotted in Taipei
https://www.taiwannews.com.tw/news/4834381
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。
他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。
趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部