年の差カップル(画像はAIで生成したイメージ)

近年の芸能界は年の差婚ブームと言っても良いくらい、年齢差のあるカップルが目立つようになったが、一般人だって負けてはいない。

45歳の年の差がある加藤茶夫妻も真っ青の47歳差、夫が76歳、妻が29歳というカップルがいる。関口昇さん・涼花さん(共に仮名)夫妻だ。

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「私たちはデイサービスセンターで知り合いました。実は昇さんは利用者さんで、私は介護士なんです」(涼花さん、以下同)

出会いは7年前にさかのぼる。

福祉系の大学を卒業した涼花さんは「A」というデイサービス施設に新人介護士として入社。右も左も分からない涼花さんに優しく接してくれたのが昇さんだったという。

「私が失敗してもニコニコ笑って許してくれるし、他の利用者さんに叱られた時は慰めたり、励ましたりしてくれました。私の荷物をさりげなく持ってくれたり、他の利用者さんの介護を手伝ってくれることもあって、昇さんの存在は本当に有難かったんですよ」

元小学校の教員で体育を教えていたという昇さんは、気配りや包容力があり、体型もがっちりしていて動きも機敏な「イケオジ」。女性利用者の間でも人気があったという。

そんな昇さんにフォローされながら、業務に勤しむ涼花さんだったが「ようやく一人前になれた」かと思われた時にコロナ禍に突入。デイサービス施設は封鎖され、昇さんにも会えなくなった。

「その時にすごく寂しかったんですよ。昇さんに会えなくなったことで、心の中にぽっかり穴が開いた感じですね。様子をうかがうために利用者さんとはスタッフが交代で電話でやりとりをしていたんですけど、私の当番になり、久しぶりに昇さんの声を聞いたときは嬉しくて涙が出ました」

結婚話に両親も弟も絶句!

涼花さんが昇さんへの気持ちをはっきりと認識した瞬間だった。

「私が『ちょっとでもいいから、昇さんの顔が見たいです』と言ったら『私も涼花ちゃんに会いたいと思ってました』と言ってくれて…それでAの近くにある公園でこっそり待ち合わせました」

厳戒態勢の中での密会だった。

互いに消毒用アルコールをぶら下げ、マスクにフェイスガードといういでたち。2メートル以上近づけないまま、涼花さんは昇さんに「愛の告白」をし、昇さんもこれを受け入れた。

その後もふたりは人目を避けながら「ソーシャルディスタンス」の交際を続けたという。

「ようやくAの再開が決まり、『ふたりの関係を公表するかどうか?』という話になった時に、昇さんから『私は真剣に結婚を考えている関係だと言いたい』と言ってくれて、それがプロポーズになりました」

ただ、そうは言っても子供に恵まれず、10年前に妻に先立たれて以来、天涯孤独も同然だった昇さんには何の問題もなかったが、涼花さん側はそうはいかない。

「結婚すると言って昇さんを紹介したときは、両親も弟も絶句していました。『バカは休み休み言え』と父なんかは聞く耳を持ってくれませんでした」

覚悟はしていたものの、あまりに頑なな両親の姿に涼花さんはくじけそうになったが、そこに意外な援軍が登場した。

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夫婦生活も月3ペース

「父の兄である伯父さんです。伯父さんは実は昇さんの元教え子で、つい最近まで交流していた人なんです。その伯父さんが昇さんの人柄や家庭環境なんかを絶賛してくれたおかげで、どうにか結婚を認めてもらうことができました」

その後、Aで結婚を発表するとスタッフや利用者の間でどよめきが起こり、その後に祝福の嵐に変わったという。

「もちろん、皆さん、色々思うことはあるでしょうし、白い目で見る人もいると思いますが、昇さんの余生が幸せになるようにふたりで頑張るだけです」今年、涼花さんと昇さんは結婚2周年を迎えたが、いまだに新婚気分でラブラブだという。

「お揃いのクマさん柄のパジャマを着て、毎晩手を繋いで寝ています。夫婦生活も10日に1回ペースでありますよ。…いえ、こんなこと他人に言うもんじゃないんですけど、高齢の夫も私を喜ばせるために頑張ってくれていて、幸せだということをアピールしたかったんです♪」

涼花さんは「コウノトリの来訪も大歓迎!」と顔を赤らめるが、「愛があれば年の差なんて」という言葉は、彼女のためにあるのかもしれない。

取材・文/清水芽々

清水芽々(しみず・めめ)
1965年生まれ。埼玉県出身。埼玉大学卒。17歳の時に「女子高生ライター」として執筆活動を始める。現在は「ノンフィクションライター」として、主に男女関係や家族間のトラブル、女性が抱える闇、高齢者問題などと向き合っている。『壮絶ルポ 狙われるシングルマザー』(週刊文春に掲載)など、多くのメディアに寄稿。著書に『有名進学塾もない片田舎で子どもを東大生に育てた母親のシンプルな日常』など。一男三女の母。