フジテレビ系列で放送されていた『トリビアの泉』では、実にさまざまな「ウルトラマン」に関するトリビアが紹介されていました。あまりにも断片的なムダ知識を紹介します。



『ウルトラマン』キービジュアル (C)円谷プロ

【画像】え…っ?「なんか可哀そう」「シュール」こちらがウルトラマンが「ジャミラに水ぶっかけてる」場面です

「ウルトラ水流」がトリビアなの!? ファンの常識が覆された衝撃

『ウルトラマン』を観たことがなくとも、「ウルトラマンは手から水を出せる」ということを知っている人は意外に多いです。なぜこんな断片的な知識が、流布しているのでしょうか。すべては、2002年から2006年までフジテレビ系列でレギュラー放送されていた、バラエティ番組『トリビアの泉 ~素晴らしきムダ知識~』の影響といってよいでしょう。

 今の20代にはすでに通じなくなりつつある『トリビアの泉』は、視聴者から投稿された「ムダ知識=トリビア」を、スタジオにいる出演者がいかに「へぇ」と思ったか、で品評するという番組でした。その後の「雑学ブーム」の先駆け的存在であり、くだらないことを全力で検証する内容は、現在の動画配信カルチャーにも直接的な影響を与えたといっても過言ではありません。

 さて、話は戻って「ウルトラマン」についてです。どういうわけかこの『トリビアの泉』は、ウルトラシリーズに関するトリビアも多く紹介され、視聴者にこれでもかと「断片的なウルトラ知識」を与えまくりました。いったい、どのようなものが紹介されていたのか、改めて見てみましょう。まず冒頭で紹介した、こちらのトリビアです。

「ウルトラマンは手からスペシウム光線を出すが水も出す」

 2004年1月8日放送回で放送されたこちらのトリビアは、スタジオでは驚きを持って迎えられました。これはファンからすれば常識であり、『ウルトラマン』第23話「故郷は地球」においてウルトラマンが元人間である怪獣「ジャミラ」に放った「ウルトラ水流」のことに他なりません。

 まさかこれが「トリビア」になり得るなど、当時の特撮ファンは大いに面食らったのではないでしょうか。番組VTRにはハヤタ隊員を演じた黒部進さんが出演されており、「なぜウルトラマンから水が?」という質問に対し、黒部さんは「彼にできないことはありません。だってウルトラマンですから」とコメントされていました。さて、続いてのトリビアはこちらです。

「ウルトラセブンは暴走族を地面に思い切り投げつけたことがある」

 2004年9月15日放送回で紹介されたもので、厳しい評価でおなじみのタモリさんも、このトリビアにはニッコニコでした。

 こちらは『ウルトラマン80』の第44話「激ファイト!80vsウルトラセブン」内での出来事であり、あくまでも「妄想ウルトラセブン」の仕業です。番組内でも補足でその点だけは強調されていましたが、いずれにせよ、真夜中の街中に出現した巨大なウルトラセブンが、暴走族をむんずと捕まえ投げつける様子は『セブン』も『80』も知らない人びとに、強烈な印象を与えたのでした。さあ、続いてはこちらのトリビアです。

「ウルトラマンはカラータイマーをとられるとしぼむ」

 こちらは「ウルトラ水流」の直後に紹介されたものでした。やはりスタジオは大盛り上がりで、最高値である「20へぇ」を叩き出す出演者が続出しています。

 これは『ウルトラマンタロウ』第52話「ウルトラの命を盗め!」での出来事であり、怪獣「ドロボン」に「帰ってきたウルトラマン」がカラータイマーを奪われてペラペラに萎む姿が改めて全国に放映されました。まさしくこれこそがトリビアの真骨頂であり、果たしてこれ以上に「断片的な知識」などありえましょうか。出演していたMEGUMIさんが大はしゃぎしていたのも納得です。

『トリビアの泉』が放送終了して久しいですが、令和の現在もこの番組がバラ撒いた断片的な知識が世間には漂っています。これ以外にも、「ウルトラマンと仮面ライダーは握手したことがある」「ウルトラマンがラップで歌う歌がある」など、ウルトラマンに関するトリビアがたくさん登場しました。番組のブレーンとして特撮ファンの放送作家、三木聡さん(後に映画監督として『大怪獣のあとしまつ』を作る)が携わっていたからかもしれません。

 総じて、筆者を含めたウルトラシリーズファンにとってはおなじみの「前提」が一歩外に出た途端、全く知られていないということに、凄まじい勢いで「へぇ」ボタンを押したくなったのでした。