【背景、徳島より41】徳島の小さな港町に住んでいると、漁師さんからたくさん魚をいただきます。先日、漁師さんから「磯魚」を大量にいただき、名前もさばき方もわからないところから調理をスタート。漁師さんは普段は食べずにリリースするのがほとんどの磯の魚たち。確かに、臭いのきつい魚もありましたが、煮付けにしたり、焼いたりしたら、あら絶品!都会では味わえない新鮮な魚たちのフルコースを紹介します。
港町の新鮮な磯魚たちの贅沢フルコース(筆者撮影)
●磯魚って何?
「これ、食べられるん?」
漁師さんに磯魚をいただいた時、私が最初に発した言葉です。
磯魚とは、岩場や磯場に生息する魚の総称。カサゴ、メバル、カワハギ、ベラなど、岩礁地帯を好んで泳ぐ魚たちがこれにあたります。「見た目が派手」「独特の臭みがあるものも」「食べにくい」などの理由で、一般的な魚屋さんではあまり見かけません。
でも、実は磯魚は昔から日本人の食卓を支えてきた功労者なんです。特に戦後の食糧難の時代には、貴重なタンパク源として重宝されていたそう。「子供の頃は、よう食べた」と地元のおばあちゃんは懐かしそうに話してくれたこともあります。
磯魚という言葉すら知らなかった都会育ちの筆者。しかし、地元の方々の話を聞くうちに「いつか食べてみたい!」という憧れの魚になっていきました。
というのも、移住してからの6年間でブリやカツオや、そのほか漁師さんが「おいしいから食べてみ」とおすすめしてくれる魚はあらかた経験済み。逆に漁師さんが「よう食わんわ」という磯魚への興味が次第に大きくなっていったのでした。
漁師さんがくれた磯魚たち(筆者撮影)
(広告の後にも続きます)
●漁師さんからの超豪華なお裾分け
「食いたい言うとったやろ。ようけあるから魚やるわ」
ある日の朝、近所の漁師さんから電話が。「その日獲れた魚の中に、磯魚がようけおる」とのことで、自転車の荷台に山積みにして魚を持ってきてくれました。
ビニール袋には、尻尾の水玉模様が特徴的な大きな魚に、ちょっとひょうきんな顔をした魚。「これ全部、食べられるんですか?」と尋ねると、漁師さんは「煮付けにしたら、どれも美味いで」と太鼓判を押してくれました。
その日にいただいた魚は、カワハギが5匹、40cmほどの大きなタカノハダイが2匹。さらには「おまけ」と言って、立派な伊勢海老まで入れてくれました。なんてありがたい!普段なら高級料亭でしか出会えない伊勢海老が「おまけ」とは。港町の暮らしって、なんて贅沢なんでしょう。