地震などの災害が身近にある日本。それだけに、自宅付近にある避難場所は絶対に確認しておきたい。

しかし以前X上では、あまりにも予想外すぎる避難場所の名前に驚きの声が上がっていたのだ。

■この避難場所、何かがおかしい…

ことの発端は、高知県にある「亀泉酒造株式会社」のX担当者が投稿したポスト。

「有事の際の避難場所が個人の畑なの高知過ぎる」と意味深な1文が綴られた投稿には、「避難場所」と書かれた青看板の写真が添えられている。

そして、行き先を誘導する矢印の上には…なんと「田中さんの畑」と記されていたではないか。

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■「どこの田中さん!?」とツッコミの嵐

「田中さん」という、地元感あふれる固有名詞を使用した看板は瞬く間に話題となり、件のポストは投稿からわずか数日で1万件以上ものリポストを記録。

Xユーザーからは「避難場所が個人の畑!?」「いや、どこの田中さんだよ!」「地元の人ならすぐ分かるんだろうな…」「田中さん、めちゃくちゃ良い人そう」「このパターンは初めて見た」「避難場所を提供してくださる田中さんに感謝」など、驚きと称賛の声が相次いでいる。

ポスト投稿主・亀泉酒造のX担当者に尋ねたところ、こちらの看板は高知県にある「柏島」エリアにて発見したものと判明。

発見時の感想について、担当者は「『田中さんの畑』というワードだけで全て伝わるのは田舎あるあるですが、それが公共の標識になっている点が高知らしいと思いました」と、笑顔で振り返っている。

そこで今回は、話題の看板を管理する高知県幡多郡大月町に詳しい話を聞いてみることに。すると、衝撃的な事実が明らかになったのだ…。

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■そんなに前から避難場所だったのか…

今回の取材に対応してくれたのは、大月町役場の「危機管理室」担当者。

看板が設置された正確な時期は「不明」とのことであった。しかし、件の避難路では2004年度、2012年度にそれぞれ舗装整備等を行っており、その時点では存在が確認できているため、それ以前に設置されたものと考えられる。

「田中さんの畑」が避難場所に制定された経緯について、担当者は「想定される津波高(津波の高さ)より高い位置にあり、ある程度の収容人数が確保できる場所のためです」と、説明していた。

なお、収容可能人数は「約30人」とのことだ。

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■避難場所「◯◯さんの××」は他にも…

「ローカルの極み」とも呼ぶべき名称が採用された経緯について、大月町の担当者は「経緯は不明ですが、地区住民の方が分かりやすいよう、そのままの名前をつけたものと考えられます」と、説明している。

そして驚くことに、同町内では他にも避難場所に「◯◯さんの××」という名称が採用されており、その数じつに23箇所(「田中さんの畑」含む)と判明したのだ。

旅行などで訪れた土地で青看板に目をやると、思わぬ発見があるかもしれない。

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ