子供の送迎をする親など、今では多くの人が利用する電動アシスト自転車。弱い脚力でも坂を上ることができ、スピードも出せるが、法律による速度制限により、時速24キロまではアシスト機能が働くものの、それを超えると機能が停止するよう設計されている。

 だが、最近は基準速度を超えて走行してもアシスト機能が維持される「改造部品」がフリマサイトなどで販売されている。24年11月には、改造部品を出品していたとして、5人の男が大阪府警に逮捕されるという事件も起きた。

「この男たちは、改造部品などを大手メーカーのロゴや社名を無断で使ってフリマサイトに出品したとして、商標権侵害容疑で逮捕されたのですが、同法での摘発は全国初でした。出品された部品は、本来24キロ以上で機能するシステムが、実際よりも遅い速度と誤認するように改造されていました。そのため、50キロを超えるスピードになっても走行できるようになっていたといいます」(社会部記者)

 電動アシスト自転車の改造や部品の販売自体は違法ではないが、24キロ以上の速度が出る場合は「原動機付き自転車」に分類され、ナンバープレートの装着などが義務付けられる。だが、改造したまま「自転車」として使用しているケースも多く、スピードの出しすぎによる事故が多発しているという。

 一方、こうした電動アシスト自転車とともに、頻発する事故によって取り締まりが強化されているのが「ペダル付き原動機付き自転車」の「モペット」だ。モペットは、エンジンとペダルを併用して走行できるため燃費がよく、ここ数年で急激に需要を伸ばしている。

モペットは道路交通法上、『原動機付自転車(一般原動機付自転車)』に分類されるため、運転免許やヘルメットの着用義務、自賠責保険への加入が義務づけられます。ところが、モペットはネットショッピングなどで簡単に購入できることから、無免許で乗っている人も少なくないため、事故が多発。しかも、無保険だったケースが続発しているのです」(前出・記者)

 警察庁によれば、24年1~9月のモペットに関する交通違反の摘発件数は1606件。中でも、人身事故は53件も報告されている。

「無免許でモペットを運転した場合は、3年以下の懲役または50万円以下。また、無保険での運行は、1年以下の懲役または50万円以下ですが、それとは別に、人身事故の際には、多額の治療費などが請求されることになります」(前出・記者)

 自転車による人身事故が社会問題化して久しい。電動アシスト自転車でもモペットでも、交通ルールの遵守は大前提と肝に銘じるべきだろう。

灯倫太郎

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