ソニーは、空間コンテンツ制作を支援する新たなソリューション群「XYN」を発表した。ソニー独自テクノロジーを導入することで、空間を正確に捉えた表現が可能としている。また、幅広い外部ツールや既存のワークフローに組み込むことも予定している。
XYNの導入により、現実世界のキャプチャーやそこに存在する人の動きのキャプチャーが可能になる。また、空間を再現し表示したり、バーチャル世界と現実世界の人間がインタラクションする操作を実現したりできるようになる。
対象ユーザーは、空間コンテンツのクリエイター。エンターテイメントの分野のみならず、産業分野など、多くの世界で活躍するクリエイターに対して、本ソリューションを広げていく。
サウンドクリエイター、CGクリエイター、モーションクリエイターに限定することなく、今後、企業や自治体など、様々な方が3Dをクリエイトする現場を、より簡単かつ手軽に提供することを目指している。
現在の制作現場では、3DCGのアセットやモーションの制作に多くの工数を要している。制作に時間がかかり、品質のばらつきが生じやすく、確認作業においても様々な制限がある。また、ハードウェアの性能に限界があることも、大きな課題となっている。
XYNは、これらの課題に対する解決策を提供する。制作においては、高効率かつ高品質なアセット制作を実現する手段を提供し、確認作業においては、鮮明な空間表現と直感的な操作性により、より確実な確認を可能にする。
この考え方に基づき、「XYN空間キャプチャソリューション」「XYN Motion Studio」、および「XYNヘッドセット」という3つの製品を発表する。
「XYN Headset」を開発発表
1つ目のプロダクトは、XYN Headsetの開発を発表した。2024年1月のCESでXRヘッドマウントディスプレイ「SRH-S1」を開発発表。今年のCESでは新ヘッドセット「XYN Headset」の開発を発表した。SRH-S1はシーメンス社のNXソフトウェアに対応した3D CADの適応ヘッドセットであったが、今回のXYN Headsetはターゲット市場をエンターテイメントや産業分野などへ拡大する。
エンターテイメント分野では、CG制作、映画制作現場のプリビジュアライゼーション、作品確認などに新たなワークフローとして適用できる。産業分野では、設計デザイン確認、工場内シミュレーション、運用トレーニングなど、様々な段階でヘッドセットが活用できると考えられる。これら全てを空間コンテンツと定義し、XYNブランドの新たなヘッドセットとしてリリースしていく。
重要な特色としては、4K OLEDマイクロディスプレイの搭載やビデオシースルー機能搭載によるMR機能、さまざまな3D制作ソフトウェアへの対応を予定している。SRH-S1と同様の技術をベースに、新たな分野へ展開していく予定である。今回は開発発表という形で、詳細なスペックに関してはまだ発表されていない。追って別途公開をする予定である。
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空間キャプチャーソリューションを開発発表
2つ目のプロダクトは、ミラーレスカメラなどで撮影した画像から、現実の物体や空間をリアルに再現するCGを生成するソリューションだ。ソニー独自の生成アルゴリズムにより、従来にはない高品質なCGを生成できる、誰でも簡単に高品質な撮影を行える撮影アシスタントアプリを提供する。さらに、既存のヘッドセットや空間再現ディスプレイとの連携を強化し、シームレスなワークフローを実現する。発表時点では詳細なスペックや機能については非公表だが、生成された3D CGは、写真や動画と見分けがつかないほどリアルで、立体空間として再現できる。
この技術は、バーチャルプロダクションの背景CG制作などに活用できる。また、映画やゲームのプロップ撮影、デジタルツインのシミュレーション、貴重な美術品のデジタルアーカイブなど、幅広い用途が想定されている。高品質なデジタルアーカイブとして、貴重な美術品のデジタル化や展示にも活用できる。このソリューションは、2025年にベータリリース予定で、順次公開しながら商用化を目指す予定だ。