2025年もレーシングブルズ(昨年までの呼称はRB)のドライバーとしてF1を戦うことになった角田裕毅は、motorsport.comの独占インタビューに応じた際、F1デビュー直後に”最高の”第一印象を陣営に与えられなかったことが、今も尾を引いていると感じている旨を明かした。
角田はF1デビュー4シーズン目となった2024年、ダニエル・リカルドやリアム・ローソンといったチームメイトより安定して良い成績を残し、合計30ポイントを獲得した。そしてレッドブルのセルジオ・ペレスが大不振に喘いでいたため、ペレスが更迭され、角田が後任を務めることになるのではないかという噂も日に日に高まっていった。
そしてシーズン終了後、ペレスが実際にレッドブルから離れることが決まった。ただ、その後任として指名されたのは、2024年シーズン後半に角田のチームメイトを務めたローソンだった。ローソンはまだF1での経験が11戦しかないが、異例の大抜擢だった。
本来ならば角田がレッドブルに昇格するのが自然である。しかしmotorsport.comの独占インタビューに応じた角田は、デビュー直後にレッドブル陣営に与えた第一印象が最高のモノではなかったことが、この決断に至った理由ではないかと語った。
「その一部は僕のせいだと思います。最初の1年、すぐにパフォーマンスを発揮できませんでしたから」
そう角田は語った。
「それが、僕のイメージを少し作ってしまっていると思います」
「2024年は好調だったにもかかわらず、他のドライバーほど評価されなかったような気もします。でも、それが現実です。僕はただ、自分がやっていることを維持し、良いパフォーマンスも続けていって、彼らが間違っていることを証明するだけです」
「僕は、彼らが僕にシートを与えない言い訳や理由を、極力与えないようにしています。だから自分でコントロールできることに集中し、現在の状況を受け入れるだけです。彼らが考えているよりも良い仕事ができると確信しています」
角田は2024年シーズンに、自分の弱点について大きく改善できたと感じている。しかし、それで全てが完璧になったと慢心しているわけではない。
「コミュニケーションの面、特に無線での言葉については改善できたと思っています」
そう角田は言う。
「落ち着きという面でも確実に改善できましたし、技術的なフィードバックもたくさんできるようになりました。以前よりも集中できるようになったんです。1年を通じて改善できたことをはっきりと感じていて、とても満足しています」
「ただ、技術的なフィードバックについては、さらに改善しなければいけません。特にレース中のフィードバックの量が課題だと思います。もっと多くのことを伝えられると思います。そして一貫性がなかった部分もありました」
「僕らにとっては、パフォーマンスを安定して発揮するのはとても難しいことでした。たとえ(ドライバーとして)良いパフォーマンスがあっても、マシンのパフォーマンスがそれに追いついていないということもありました。それでも、安定性についてはかなり満足できています。いつも、もっと良い成績を残せたレースが数戦あったはずだと言いますが、それでもかなり安定していることは示せたと思います」
「開幕直後は本当にうまくいきました。マシンはかなり良かったので、安定してポイントを取ることもできました。でもある時点で、アップデートでマシンを改善することができず、実際にハースをはじめとしたライバル勢が、マシンのパフォーマンスの面では上回っていってしまったんです」
レーシングブルズは、チーム再編成の真っ最中だ。本拠地はイタリアのファエンツァのままで変わらないが、イギリスの拠点はこれまでのビスターから、親チームであるレッドブルがあるミルトンキーンズに移る。そんな変革期に、角田のように長くチームにいるドライバーが存在するのは、大いに役立つであろう。
角田も、チームのローレン・メキーズ代表、ピーター・バイエルCEOから、”大きなサポート”を受けたと感じていることを明かす。
「正直に言って、SNSで皆さんが何を言っているのかということについては、あまり気にしていません。だって皆さんは、何が起きているのかを正確に知っているわけではないですから」
そう角田は語った。
「重要なのは、チームが僕のことをどう思っているのかということだけです。間違いなく、僕はチームから大きなサポートを受けているように感じています。彼らはレースごとに何が起きたのかを理解しているし、僕のことを大変信頼してくれました。それが重要なことなんです。そして僕は彼らの努力に、本当に感謝しています」