数日後に開幕を迎える2025年シーズン最初のテニス四大大会「全豪オープン」(1月12日~26日/オーストラリア・メルボルン/ハードコート)で、2年ぶり11度目の優勝を目指す元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)が、同国の新聞『Herald Sun』のインタビューに回答。その中で22年1月の新型コロナワクチン未接種をめぐるオーストラリア入国問題がトラウマになっていると告白した。
当時ジョコビッチはワクチン接種免除の申請が承認されたとしてオーストラリアに渡航したものの、空港到着後に入国を拒否され、臨時収容施設として手配されたホテルに勾留。裁判の結果ジョコビッチは敗訴となり、国外退去と大会4連覇が懸かっていた全豪の欠場を余儀なくされた。
翌23年の全豪には無事出場を果たし、見事に優勝を飾ったジョコビッチだが、今もオーストラリアに足を踏み入れるたびに混迷を極めた3年前の豪入国問題がフラッシュバックしてしまうと率直に明かす。
「入国審査を受けるためにオーストラリアに降り立った直近の数回は、わずかながら騒動のトラウマが残っていた。税関を通過する際、そのエリアから誰かが僕の方に近付いてこないかを確認している時に、あの時の記憶がよみがえってくる。パスポートをチェックしている人は、僕をどこかに連れていって拘束するのか、それともそのまま入国を認めてくれるのか? 今でもそんなふうに思ってしまうことを認めざるを得ない」
ただし「オーストラリア自体に恨みはない」とジョコビッチは断言する。それには全豪ですさまじい成績を残していることが関係しているようで、入国騒動の翌年の優勝は特に心に残っていると語った。「騒動の翌年にはすぐ全豪に出場して優勝できた。あの時は両親とチームメンバーの全員が来てくれて、前の年に経験したこと全てを考えると、これまでで最も感動的な勝利の1つだったね」
間もなく戦いの火ぶたが切って落とされる今年の全豪、長年テニス界を牽引してきた37歳のジョコビッチにはある記録が懸かっている。男女を通じて史上最多となる通算25度目の四大大会優勝だ。人一倍思い入れのあるメルボルンの舞台で新たなマイルストーンを築けるか、否が応にも期待は高まるばかりである。
文●中村光佑
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