ダカールラリーがサインツSr.に牙を剥く。横転クラッシュで早くもリタイア決断「強くなって来年戻って来る」

 フォードのカルロス・サインツSr.は、ダカールラリー2025最長の48時間クロノステージとなったステージ2でクラッシュ。マシンのダメージが大きかったことから、残るラリーへの挑戦を断念せざるを得なくなった。

 2025年のダカールからラプターT1+を投入しているフォード。その尖兵として起用された前年度覇者のサインツSr.は、ステージ1で戦略的にスピードを控えて走っていた。しかし鬼門のクロノステージでは、前半となる1月5日(日)の327km地点にあった砂丘を飛び越える際にルーフから着地。マシン後部が大きく破損した。

 サインツSr.はチームメイトであるミッチ・ガスリーJr.の助力によって横転したマシンを立て直して走行を再開。ビバークまでたどり着くと、続く6日(月)のステージ後半も走りきった。

 FIAはステージ3以降にもサインツSr.が参加できるかどうか判断するため、チェックを実施。その結果テクニカルスチュワードは、サインツSr.のマシンのロールケージに損傷が見られるとして、これ以上の続行は不可能だと判断した。

 レギュレーションの許容量を超えたロールケージの変形は、アクシデントが繰り返された場合に深刻な影響を及ぼし、キャビン内のドライバーとコドライバーの安全性が脅かされる可能性がある。

 フォードはサインツSr.のリタイアに関して次のように声明を発表した。

「ダカールラリー2025の48時間ステージの前半で発生した事故により、225号車(カルロス・サインツSr./ルーカス・クルス組)のセーフティケージが損傷したため、FIAのレギュレーションに従い、同車両をリタイアすることを決定した」

 レギュレーションによると、その部分の修復は不可能とのことだが、サインツSr.は問題なくチームが修理可能な箇所であったと示唆。ただ、レギュレーションに従いリタイアを受け入れると語った。

「あまり良いニュースはない。今回、見ての通りかなりひどい状態のマシンをなんとかフィニッシュまで運び、ステージを終えた」

 ソーシャルメディアを通じてサインツSr.はそう振り返った。

「しかし、ここで追加点検を行なったところ、ロールケージが1ヵ所だけ、わずかに曲がっていることが分かった。非常に簡単に修理できるモノで、チームとしては問題なく直し、ラリーを続けるのに十分なくらい安全なマシンを仕上げることができたはずだ」

「しかし残念なことに、FIAレギュレーションがそれを許さなかったため、僕らはラリーから退かざるを得なくなった。レースが始まって数日しか経っていないのに、既に帰路に着かなければならないという落胆、フラストレーションは想像に難くないはずだ」

 そしてサインツSr.は、2026年のダカールに向けて成長し戻って来ると誓った。

「しかし、これがレースというモノだ。時にはこうした挫折に直面することもある。ミッチもマティアス(エクストローム)もまだレースに残っているし、彼らが優勝を目指して戦い、前進してくれることを願っている」

「僕らとしては、彼らをサポートし続け、マシンでより多くの経験を積むことができず残念に思う。いずれにせよ、来年はもっと強くなって戻って来るし、このブランドで優勝を成し遂げたい。フォードの幸運を祈る」

 ステージ2を終えた時点で、総合順位ではトヨタのヘンク・ラテガンが首位。トヨタのプライベーターであるオーバードライブから参戦するヤジード・アル・ラジが2番手、ダチアのナッサー・アル-アティヤが3番手につけている。二輪からの転向となったトビー・プライス(オーバードライブ)が4番手にいる。

 フォード勢最上位は、その後方5番手につけるエクストローム。ガスリーJr.は9番手だ。