ロッサLM GTがドバイ24時間レースでデビューを迎える。このメーカー名に聞き覚えの無い人がいるのも無理もない。
ロッサはドバイを拠点とした新興コンストラクターで、レーシングドライバーのロマン・ルシノフがロシアから資金を調達し、マシン開発を行なってきた。過去1年を通して何度かテストを実施した後、初めて国際レベルのレースに出場することとなる。
ルシノフはジョーダンやミッドランドでF1テストドライバーを務め、過去にはGドライブ・レーシングを率いて世界耐久選手権(WEC)などに参戦。ただ、2022年にロシアがウクライナへの侵攻を開始したのを受けてFIAがロシアライセンスでのレース出場を全面禁止したため、GドライブはFIA管轄のイベントから姿を消した。
しかしルシノフは、ロッサと共にドバイ24時間で国際レースに復帰。1月10日から1月12日のレースでは、GT2車両またはカテゴリーとしての公式ホモロゲーションが未取得の車両のみ参加できるGTXクラスを戦うこととなった。チーム運営を行なうのは、パスカル・ロチュリエ率いるフランスのグラフ・レーシングだ。
797号車ロッサLM GTの初陣となるドバイ24時間に向けてルシノフは、アマチュアドライバーのエフゲニー・キレエフと、伝説的レーシングカーデザイナーの息子であるハリソン・ニューウェイを起用する。
ニューウェイはここ数年こそレーシングドライバーとして表舞台から離れていたものの、2019年には日本のスーパーフォーミュラにB-MAX Racingから参戦。2017-18年シーズンにはアジアン・ル・マン・シリーズ(ALMS)のLMP2クラスでタイトルを獲得するなど耐久レースでも経験が豊富だ。
その後、このドライバーラインアップに、マゼピンが4人目として加わることが決まった。マゼピンは2021年にハースからF1デビューを果たしたものの、前述のロシアによるウクライナ侵攻によってEUの制限的制裁措置の対象となり、2022年のF1レギュラーシートを喪失した。
マゼピンはその後ALMSなどに参戦。2024年3月にEUの制裁対象リストから除外され、再びEU圏に足を踏み入れることが許されると、7月にはハンガリーに新設されたバラトンパーク・サーキットでフェラーリ296 GT3をテストしていた。
なお、2025年のドバイ24時間レースには、2度の世界ラリー選手権(WRC)チャンピオンであるカッレ・ロバンペラが、プロトン・フーバー・コンペティションからポルシェ911 GT3 Rで参戦予定。2024年はパートタイムでWRCに参戦する傍らサーキットレースやドリフト競技に打ち込んできており、2025年からのWRCフル参戦再開を前に今回のレースでひとつの区切りを迎える。