新日本プロレス11.4大阪府立体育会館第1競技場大会に、挨拶に現れたアメリカAEWの副社長ケニー・オメガ。挨拶を終えて、バックステージでコメントを出すと、ゲイブが現れてケニーを襲撃するというハプニングがあった。
【ハイライト動画】棚橋弘至が涙したケニー・オメガvsゲイブ・キッドetc.
この事件を深刻に受け止めた棚橋弘至社長は「本件に関しまして、状況を深く受け止め、社内で協議し、欠場選手への暴行はプロ失格であるという結論に達しました。つきましては、ゲイブ・キッド選手には厳重注意と罰金を科すことを決定しました。併せまして、AEWならびにケニー・オメガ選手には謝罪申し上げます」と謝罪。オフィシャルサイトでも両者の乱闘場面は数分で削除されており、ゲイブが不意打ちをした可能性が極めて高い。
そこからゲイブが新日本からAEW旗揚げに走ったケニーへの猛批判を展開。1.5東京ドーム大会での復帰を予定していたケニーはゲイブの対戦要求を飲んだ。二人はケニーが新日本に所属していた頃、ゲイブがヤングライオンだったこともあり親交があったが、ゲイブの眼にはケニーが新日本を裏切ったように映ったようだ。
現在のゲイブはデビッド・フィンレー率いるバレットクラブWAR DOGSの中核メンバー。STRONG無差別級王者でもある。昨年はプロレスリング・ノアにも参戦し、エース清宮海斗と凄惨な試合を繰り広げており、シングルプレーヤーとしても頭角を現してきた矢先の出来事だった。
今回の一戦では、何とライオンマークとWAR DOGSのマークが入ったスパッツを着用。新日本プロレス代表として、AEWのケニーと対峙した。この心意気にファンが応えないわけがなく、ベビーであるはずのケニーにブーイングが飛び、場内はゲイブコールに包まれるという異様な事態に発展する。
ゲイブはレフェリー不在の状況を作るとハードコアアイテムを次々と投入。ファンのリアクションに戸惑っていたケニーも途中から吹っ切れてヒールモードで、ゲイブの壁に徹した。最後はあと一歩届かなかったが、ゲイブの闘いぶりにテレビ解説の棚橋弘至は涙を流していた。グッズ関係者によると「試合後はゲイブのTシャツばかり売れた」というのだから凄い。
試合後、ケニーは「新日本、フルタイムメンバー、よくやったな。今日の試合前、俺はみんなから温かい声援を受けると予想していた。そして俺はその声援の中で闘うと思っていた。ただゲイブはなかなかのモンスターだった。そしてその試合中、ゲイブへの声援を聞き、この試合に向けてのブーイングも聞こえた。裏切られた気分だった。俺はお前たちのために試合をするため、今契約をしているAEWではなく、この新日本のリングを選んでここに来たのに、何か……(泣き始める)ただ、これで自分は決断することができた。自分自身の試合をする。俺がやるべきこと、そしてやるべき仕事、自分自身を証明し、そしてゲイブには、彼がどんなガッツを持って、自分自身を証明するためにここに上がってきているのかを見せてほしいと思った。アイツは特別だ。すごくいいスピリットと、そして闘う情熱を持っている。次がもしあれば、次に会う時まで、Good Bye & Good Night。ゲイブ、お前は正しかったよ。お前にはガッツがあるし、そしてお前と闘おうと思った俺の決断も正しかったと思う。それを今日、お前は見せてくれた。そして俺がまだできるということも今日の試合でわかった。感謝しているよ。次に会うまでGood Bye & Good Night。とはいえ新しいヒーローがここに誕生したな。日本にはゲイブというスターがいる。若くてハングリーで情熱があり、そして熱心ですべてを捧げることができるヤツだ。たぶんああいう男を今の新日本は必要としてるんだろう。楽しむがいい」とゲイブを称賛するコメントを残している。
ゲイブは翌6日の東京・大田区総合体育館大会でIWGP GLOBALヘビー級王者の辻陽太と対峙すると、次のように語っている。
「この星の誰もが、俺が本物の“マッドマン”だということをわかっているんだ! 俺が本物のマッドマンだ! 昨日言っただろう。あの試合に俺が負けたと思ってるのか。頭にきてるのか。だがアンタとは終わりだ。ケニーとは今は終わりだ。ツジについて話そう。ヨータ・ツジ。俺を笑わせるな。笑わせんな! 皆は会社の未来について話していてる。3つの名前が上がってる。ゲイブ・キッド、ヨータ・ツジ、ショータ・ウミノ。だが正直に言うと、この会社を未来に導くのはこの3人じゃない。なぜならショータ・ウミノは人生最大のチャンスを手にしたのに、見事にコケちまったからな! アイツはこの話に関係すらしていない。新日本プロレスをさらに高みに持っていくのは2人、俺とお前、ツジだ。今週サンノゼへ行く。イシイとのタイトルマッチだ。イシイ、あの小さな爆弾をヤルつもりだ。だがその後はツジ、『THE NEW BEGINNING in OSAKA』でやるぞ。そしてその後はザック・セイバーJr.だ」
ゲイブは辻と2人で新日本の新世代争いを繰り広げていくと宣言。今度はトップに立つために、着実に階段を上がっていくようだ。
ヒールでありながらも柴田勝頼の教えを受けた新日本LA道場出身というプライドは人一倍強いだけに、新日本に危機が訪れた時、ゲイブが再び立ち上がってくれるだろう。
取材・文⚫︎どら増田
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