スキー生産機能の拡大
レーシングのトップモデルは、引き続きオーストリアのホヘネムスにある本社工場で生産を継続し、ブーツは、世界各国のスキーブーツ職人が集まるイタリア北部、トレビーゾ地方の小さな街で製造されている。そしてここ数年、ケスレスキーの需要は留まることなく拡大し、2022年には、チェコのノヴェ・メスト・ナ・モラーヴェにある工場を増築し、近代化と自動化に踏み切った。さらには太陽光発電システムの大規模な投資を行い、エネルギーの大部分を再生可能エネルギーから得ることが可能となった。
上の写真で一番奥にあるのが旧工場で、その一つ前にある建物が新設した巨大工場だ。屋上には発電のためのソーラーパネルが並んでいる。写真の下の部分に所狭しと積み重なっているのは木材だ。スキーを製造するうえで最も重要な芯材となるのがウッドコア。ケスレのウッドコアは、3年から5年の間、自然の空気と雨風に晒すことで、スキーの芯材として最適なしなやかさと強度に仕上げられている。
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時代に合わせた経営戦略
海外ブランドの代理店業を日本で行うとなれば、通常では日本を拠点とした経営戦略を立てることになる。しかし、せっかくスキービジネスの中心に位置するオーストリアにいるならば、このメリットを活かすべきではないかと考えた。幸いにもインターネットが世界中でつながっており、ビジネスをする上で必要なコミュニケーション、ブランド力をつけるためのマーケティング、商品を広げていくための営業活動など、すべてをオンライン化できる時代となった。さらにはコロナウィルスの影響でオンラインミーティングが定着し、海外で日本相手に仕事をすることが、これまで以上にやり易くなっている。
そのような理由から、私自身はオーストリアに拠点を置き、スキー先進国オーストリアでの情報収集に力を入れている。また、ケスレの本社や工場、そこで働いている人々との関係性を構築することで、今ではスキーのデザイン、機能、ラインナップなど、スキー製造に対するアドバイスも求められるようになってきた。さらには、日本市場に向けたスキー開発や、生産ラインに対するリクエストなどもできるようになり、これからの日本展開を進めるうえでは、大きなアドバンテージとなりそうだ。
日本サイドでは、私が小中学生時代を過ごした場所でもある新潟県湯沢町にケスレの日本拠点兼サービスセンターを配置した。また、ケスレスキーのレーシングサービス、シーズンを通してニューモデルが試せる試乗センター、ブランドアンバサダーやインフルエンサーとの契約等々、ゆっくりだが確実に準備を進めている。なお、以前の日本での呼び名は「ケスレー」だったが、オーストリアでの発音とは少し違ったため、日本復活を機に「ケスレ」に改めている。
偶然にも、このようなタイミングでケスレと再会し、1998年に強制的に終了されたケスレとの歩みを、あのときに選手としてやり残したチャレンジを、次はブランドのディレクターとして再スタートすることができるなんて思ってもいなかった。この奇跡のような人生に感謝し、まずは自分らしく、しっかりと結果を残したい。将来的には、スキー販売という枠だけに捉われず、オーストリアにあるようなスポーツ文化を日本にも定着させつつ、地域経済の活性化や、人々の健康や幸せにつながるような取り組み、それに繋がるような商品の取り扱いなどにも挑戦したい。
Information
ケスレジャパン オフィシャルウェブサイト
https://kaestle.com/ja
ケスレジャパン オフィシャルインスタグラム
https://www.instagram.com/kastle_jp/
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