クリップ型マイクと改良された受信機。使い勝手はどうなったか?
M2Sは、M2のマグネット式を廃して、マイクカプセル部分は1.3cm×0.63cmとピンマイク相当のU字クリップ式になった。チタン合金でできており、非常に軽量であるにも関わらず、かなり強力な挟む力があり、挟んだ時に生地などに接する部分はゴムの滑り止めが付けられている。これらによって、スポーツなどの激しい動きにも対応できる。
U字クリップ式になったことで、マグネット式に比べて取り付け位置の自由度が狭まったが、襟などに挟むことで映像に映り込むマイクカプセル部分が非常に小さくなったのも大きな進化だ。
他のデジタル式無線マイクの場合、どうしてもマイクが大きく目立つ。重量もあるので、だらしなく衣服が乱れたり、マイクがそっぽを向いたりする感じになりやすいのだが、見た目重視の現場の場合には、このU字クリップ式の利点は大きいと言える。M2で使い難かったウインドジャマーは簡単にマイクカプセルに取り付けられるようになり、そのサイズも小さく薄くなったので、衣装への影響もかなり軽減される。
M2SのU字クリップ式は、ある意味で損して得を取るという大胆な変更だが、これについては賛否があるだろう。しかし、実際に使った感想で言えば、「工夫次第で、U字クリップがいい」と評しておく。
通常のインタビューなどでは、背広などの襟(胸元)に簡単に取り付けられ、かつ、マグネットのような脱落の心配がない。Tシャツのような胸元にクリップしにくい衣装では、首元の襟に取り付けることが考えられるが、討論番組などでは顔の向きが変わることによる音質・音量の変化が避けられない。首元への設置は周囲がうるさい時には有効だが、それ以外で音質変化を伴うので避けたいわけだ。そういう意味ではU字クリップ式は扱いにくい。
ではTシャツなどへの取り付けはどうしたらいいか? 筆者はネックレスのような紐を用意して、首から下げてTシャツの下にぶら下げてもらうか、女性の場合にはブラなどに挟んでもらっている。この場合、衣擦れを回避するためにウインドジャマーを取り付ける。まぁ、面倒な場合には首元の襟に挟んでしまうが、編集時にラウドネス調整するだけで、通常のインタビュー等は問題なく使えることは付記しておく。
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扱いやすい受信機とスマホによる詳細設定は便利。30時間分のバッテリーを搭載した充電ケース
受信機は、前作のM2と同等サイズと機能を有する。操作系は3段階のボリューム(スイッチ付き)と電源ボタンの2つしかない。あとはUSB端子と音声出力ジャックだけだ。
まず、ボリュームボタンだが、無段階に回るが設定は3段階に切り替わる。これは3つのLEDで確認可能で前作M2と同じだ。このボタンは押し込むことでモードが切り替わる。短いタップではノイズキャンセリングのオンオフが切り替わり、長押しでステレオ・モノラルの切り替えができる。電源ボタンは長押しで本体のオンオフ、短いタップではボタンホールドになる。
実はM2Sにはもうちょっと機能があり、これはスマホアプリ「LARK Sound」で行う。接続方法はiOSとAndroidで異なる。iOSの場合には、受信機と専用ケーブル(USB-Lightning変換:コンボセットに付属)で接続する。アプリを立ち上げると接続され、ボリューム調整(3段階)、ノイズキャンセルの「強弱」切り替え、オートオフの設定(送受信器が接続されていない場合の電源オフまでの時間)ができる。Androidの場合には、小さな専用受信機(USB-C RX)をUSB-C端子にダイレクトに接続。USB専用受信機の場合には音量調整が5段階になる。
スマホアプリで設定されたものは、そのまま受信機に維持される。ノイズキャンセルが2段階になったのはありがたい。テレビ番組や映画のように音質が問われる場合には弱かオフで使うのがいいだろう。