腹部の負傷で全豪出場が危ぶまれるキリオス。大会責任者は「ニックはプレーするだろう。何の心配もない」と太鼓判<SMASH>

 2025年シーズンの開幕戦として行なわれた男子テニスツアー「ブリスベン国際」(24年12月29日~1月5日/オーストラリア・ブリスベン/ハードコート/ATP250)で、約1年半ぶりの実戦復帰を果たした元世界ランク13位のニック・キリオス(オーストラリア/現在世界ランキングなし)に新たな懸念が生じている。

 ブリスベン国際に単複で出場した29歳のキリオス。ダブルスでは親友のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現7位)とのペアで初戦を突破したものの、2回戦で第1シードのニコラ・メクティッチ/マイケル・ビーナス(クロアチア/ニュージーランド)に2-6、6-3、[8-10]で敗れた。

 一方プロテクトランキング(負傷離脱前の順位でエントリーできる救済措置)で参戦したシングルスでは1回戦でジオバンニ・ペチ・ペリカール(フランス/現30位)に6-7(2)、7-6(4)、6-7(3)で惜敗。海外メディア『UBITENNIS』によると、キリオスはペリカールとの試合を終えた後の記者会見で、以前手術を受けた手首の状態に不安を示したという。

 間もなく開幕を迎える四大大会「全豪オープン」(1月12日~26日/オーストラリア・メルボルン/ハード)にもプロテクトランキングで出場を予定しているキリオスだが、現地9日に参加するはずだったジョコビッチとのエキジビションマッチは欠場すると表明。だがその理由は手首のケガではなく、「腹部の負傷」によるものだと発表されたのだ。これについてはキリオス本人が自身のSNSで次のように報告している。
 「腹部の超音波検査でグレード1の肉離れが見つかり、残念ながら今週の木曜日に親友(ジョコビッチ)とプレーすることはできない。全豪オープンまでには万全の状態になるように、休養して全力を尽くすよ」

 コンディションが心配されているにもかかわらず、全豪のトーナメントディレクターを務めるクレイグ・タイリー氏はキリオスの同大会3年ぶりの出場に楽観的な態度を示している。このほど同氏は地元メディアの取材で次のようにコメントした。

「ニックは全豪でプレーするだろう。エキジビションの欠場は単なるケガの予防措置だと思うし、彼からもそう聞いている。ニックだけではなく、多くの選手がエキジビションマッチを欠場している。それ自体は普通に起こりうることだ。全豪開幕に向けては何の心配もない」

 抜群のテニスセンスでファンを魅了してきたキリオス。度重なる苦難を乗り越えてようやくカムバックを遂げた彼が、久々に地元メルボルンのコートで躍動する姿を見たいと多くの人が思っていることだろう。とにかく今は全豪で予定通りプレーできることを願うばかりだ。

文●中村光佑

【動画】開幕戦の「ブリスベン国際」、ジョコビッチ/キリオス組の1回戦ハイライト

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