1月8日、斎藤貴聡被告(32=逮捕時)の初公判が東京地裁で開かれた。貴聡被告は妻の智華被告(33=同)と野村祐貴被告(30=同)とともにフェラーリやランボルギーニなどの高級車でトラックを追跡し、『飛び石が跳ねて車が傷ついた 』などと運転手に因縁をつけ免許証を撮影し、不正に作成したクレジットカードで商品を購入するなどした詐欺罪に問われている。斎藤夫妻らによる被害総額は9500万円以上にのぼると見られている。
「妻に暴力を振るうなどして完全に服従させていた」
不正に作った他人名義のクレジットカードを使用して家電量販店や衣料品店などで商品を騙し取るなどし、逮捕されてからおよそ4ヵ月。
法廷に現れた斎藤貴聡被告はグレーのスウェット上下に茶色のサンダル履きという姿だ。もともとボディビルの大会に出ていた経歴も持つ貴聡被告の体格の良さは逮捕時から変わらないが、頭髪は留置生活で手入れもままならないのだろう。
伸びきった金髪は根元の3分の1以上が黒髪のプリン状態だった。社会部記者が語る。
「貴聡被告は一連の詐欺事件で繰り返し再逮捕され、これまでに5回起訴されています(1月8日時点)。いずれも相手に因縁をつけたり、スポーツジムなどで不正に入手した他人の身分証を用いて作成したクレジットカードで商品を騙し取る手口です。
2月上旬にも追起訴が予定されていますが、その後も追起訴が続く見込みです。この事件では他に妻の智華被告と、貴聡被告の大学時代のカヌー部の後輩である野村被告が、逮捕後に起訴されて初公判がすでに開かれています。
12月25日に開かれた妻の智華被告の初公判では、夫の貴聡被告に暴力を振るわれて脅され、犯行に服従せざるえなかったと証言したこともあり、主犯と目される貴聡被告が何を語るのかに注目が集まっていました」
8日の初公判では、検察官が起訴状を朗読する間、証言台の前に座る貴聡被告は肩を回してほぐしたり、前髪を耳にかけたり、時には目やにを拭うような仕草すら見せていた。内心はうかがい知れないが、非常に堂々とした態度に見える。起訴状に間違いがあるかと裁判官に問われた貴聡被告は、しばし間を空けるとこう語った。
「特にないです。間違ってるところはないっスけど、意味を履き違えてほしくないところがあります。斎藤智華、野村祐貴に対しそれぞれに共謀という言葉が使われているんですけど、斎藤智華については私が常日頃から暴力なり、暴言なりで完全に服従させた状態で、手伝わせていた」
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野村被告については「必要のない人間だった」
貴聡被告は落ち着いた様子でそう語ると、さらに共犯の野村被告について次のように続けた。
「野村祐貴に関しては、私が指示を出した認識になっていると思いますが、実際私は指示とか一切出したことないです。どちらかと言うと、私が今やってることに『付き添わせてほしい。それで金が欲しい』と言われての共謀なので、そこは勘違いしてほしくない。だから、主従関係は野村祐貴との間にはないということです」
その後、自身の行なった詐欺については認めつつも、起訴状のひとつにある東京都内の家電量販店で商品を騙し取った時のことについても訂正を始めた。
「〇〇店の件あるじゃないですか? あれに智華は別に関係はしてないっすよ。そもそも〇〇店の件は私ひとりなんで。今ある中ではその一件に関しては自分1人でやってます」
そう証言する貴聡被告に対し、裁判官は再度、共犯の野村被告との関係性について確認を行なった。
「私としては(野村被告は)必要ない人間だったんで。『お金に困ってるから』と向こうから来られたんで、私も仕方なく。実際に必要か必要ないかの2択で言えば、必要のない人間です。だから私があれをしろこれをしろということはないんです。結果として一緒にやったことは認めます」
妻に暴力を振るったことや、後輩を必要のない人間だと堂々とした様子で語った貴聡被告。
次回公判は3月の予定だが、今後は貴聡被告と共犯者との関わりが焦点になってくる。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班