道を歩いていると、必ず目にするのが道路標識。改めて言う話でもないのだが、ドライバー各位は標識の内容を遵守しなければならない。
しかし以前X上では、とある交差点で目撃された「レアすぎるシチュエーション」に、疑問の声が寄せられていたのだ。
■この交差点、何かが足りない…?
今回注目したいのは、Xユーザー・たこ(道路好団垢)さんが投稿したポスト。
こちらの投稿には、地面に大きく「止まれ」と書かれた交差点と、横断歩道の写った写真が添えられている。しかし、停止線付近に「横断歩道」の道路標識はあるものの、「一時停止」の標識は確認できない。
そしてポスト本文には、「『止まれ』の法定外標示があるにも拘らず、一時停止標識が存在しないため、道交法上は一時停止規制が発効しない希有な交差点」と、驚きの1文が綴られていたのだ。
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■「停止の義務ないの?」と戸惑いの声も…
ドライバー自身が気付かぬうちに「一時停止違反」をしてしまうケースは少なくない。読者諸君の中にも(一時停止違反が起こりやすいエリアで)隠れていた警察官に取り締まりを受けた…という、苦い経験の持ち主がいることだろう。
こちらのポストは瞬く間に話題となり、投稿からわずか数日で3,000件ものリポストを記録する事態に。
Xユーザーからは「知らなかった」「確かに珍しいな」「こういう特殊なケースもあるのか」「停止線もあるけど、停止の義務はないの?」など、驚きと戸惑いの入り混じった声が多数寄せられていた。
ポスト投稿主・たこさんに話を聞いたところ、こちらの光景は長野県下伊那郡の「売木村」(うるぎむら)付近、国道418号にて目撃したものと判明。
そこで今回は、こちらの交差点を走行する際の「道交法上の義務」について、長野県警察に取材を敢行することに。その結果、驚きの事実が明らかになったのだ…。
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■発見者は「かなり珍しい」と驚き
「止まれ」の法定外標示があるにも拘わらず、一時停止標識が存在しないため、道交法上は一時停止規制が発効しない希有な交差点。長野県売木村にて。 pic.twitter.com/yyeJzta5if
— たこ@道路好団垢 (@road0724day) December 3, 2024
日頃から、道路等に関する情報を多数発信しているたこさん。
こちらの交差点については、「道路管理者(県または村)側は『止まれ』と表示しているのに、交通管理者(公安委員会)側は一時停止の標識を付けておらず、双方で意見が一致していないのだな、と思いました」と、説明している。
その上で、「道路管理者と交通管理者で交通規制の扱いに対する認識を一致させるのが普通ですが、たまにこのような双方の認識が一致しておらず、あべこべになっている例もあります」「カラー舗装や停止線、横断歩道など、他の安全施設は充実しているにも拘わらず、一時停止の標識だけが無い例はかなり珍しいです」と、率直な感想を語ってくれた。
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■県警は「一時停止の義務、発生しない」
こちらの交差点に一時停止の標識が存在しない理由について、長野県警・交通規制課の担当者は「公安委員会による『一時停止規制』の意思決定がないからです」と、説明する。
また、走行時の義務や注意点については「横断歩道があるので、横断歩行者がいる場合、一時停止をしなければいけません」「交差点を進行する場合、状況に応じて安全な速度で進行しなければなりません」とのこと。
つまり、こうした事情がない限り、こちらの交差点では「一時停止の義務が発生しない」と、改めて判明したのだ。
前出のたこさんのコメントにもあったように、一時停止などの「規制標識」は、道路管理者と公安委員会(各都道府県警)が分担して管理している。
一方、地面に書かれた「止まれ」などの「法定外表示」は道路管理者(国や地方公共団体の機関)の管轄となっているのだ。
もちろん、基本は「一時停止の義務が発生しない」道路であっても、「全く減速せずに通過して良い」ワケではない点には要注意。道路上の状況次第で、一時停止や徐行の義務は発生するのだ。
今回の交差点に関しても写真を見る限り、義務云々は抜きにして、一時停止するのが安全に感じられる。やはり、一時停止の標識を設置するのがベストなのではないだろうか…。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)