久美さん(36歳大学病院勤務医/既婚・子供なし)は、医師として仕事に邁進する日々だったが、母がガンで亡くなったことで人生が大きく変わった。 母の死後、開業医の父(70歳)は、医療スタッフとして働いて...
先輩女医にカミングアウト
冬のロンドン旅行も支払いは自分持ち(写真:iStock)
誰にも言えずにいた不倫だったが、久美さんは、ある日、信頼のおける先輩の女性医師にカミングアウトした。
「卓也くんとの交際を告げると、開口一番『15歳も年下? 久美は騙されてる。単なるATM女じゃないの?』と言われました。その言葉に『やっぱりそうなの?』と思う気持ちと『彼だけは違う』と反発する気持ちが同時に湧きました」
結果、後者が勝(まさ)った。
「先輩医師の言葉に反発するように、卓也くんとはその後も交際を続けました。営業職の彼は、接待などもあって夜遅くまで忙しいのですが、休暇を合わせてデートや旅行を楽しみましたね。カフェ巡りや美術館の他、箱根や草津の温泉、北海道や沖縄へも行きました。
そうそう、冬のロンドン旅行もしたんです。世界最古のおもちゃ屋さんでパディントンやハリーポッターと写真を撮ったり、ソンドハイムシアターで『レ・ミゼラブル』を観たり」
嬉しそうにインスタを見せてくれる彼女だったが、支払いの件をたずねると、笑顔から一転、表情を曇らせた。
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遅れがちな返信、そしてドタキャン
不安は膨らむばかり(写真:iStock)
「交通費と宿泊代、そして食事代もすべて私持ちです。誘ったのが私だから、お財布を開かせるのは申し訳なくて…。私、やっぱりATM女でしょうか?」
久美さんは言葉を継いだ。交際が4カ月を過ぎたころ、次第に、LINEの返信が遅れがちになったという。
「連絡が減ってきたので、卓也くんに聞くと『仕事が楽しくなってきて、少しでも久美さんにお返しできるよう頑張っているところ』と言ってくれましたが、私としては不安が膨らむ一方で…。
一番ショックだったのは、ディズニーランドに行く約束をしていた日の前夜に『明日は会社の先輩と一緒に一泊で伊豆に釣りに行ってきます。大物が獲れたら写真送りますね』とLINEが来たこと。すぐに『明日はディズニーランドの予定でしょう?』と返信すると、『ごめんなさい! すっかり忘れてた。延期してもいいですか?』って…。これには失望しましたね」