2024年8月のパリ五輪で現役から引退した男子テニス元世界ランク1位のアンディ・マリー氏(イギリス)が、四大大会史上最多タイの24勝を誇る盟友ノバク・ジョコビッチ(セルビア/元1位/現7位)のコーチに就任したニュースはテニス界に驚きをもたらした。元選手が引退後にコーチに就くケースは多いものの、マリー氏本人は自身が指導者となることは予想していなかったと語る。
海外メディア『UBITENNIS』によると、ジョコビッチとマリー氏はプレシーズンに仕事を開始し、スペイン・マルベーリャにあるジョコビッチの私邸で10日間ほど一緒に練習を行なったという。
当初2人は新シーズン開幕戦の「ブリスベン国際」(オーストラリア・ブリスベン/ハード/ATP250)で初陣を飾ると報じられていたが、マリー氏が年末年始に家族で休暇を取ったため、そこではジョコビッチに帯同できなかったとのことだ。
したがってジョコビッチとマリー氏は、間もなく開幕を迎える四大大会「全豪オープン」(1月12日~26日/オーストラリア・メルボルン/ハード)が新チーム初戦となる予定。両者はすでに会場に到着しており、現地7日にはジョコビッチがマリー氏の指導の下でヒッティング練習を実施。9日夜には2人でエキジビションマッチにも参加し、会場に詰め掛けた多くのファンを魅了した。
ちなみに現時点でジョコビッチとマリー氏は契約期間を全豪までと定めており、以降の契約を延長するかどうかはジョコビッチの意向次第となるようだ。
ところでかつての最大のライバル同士がパートナーシップを結んだ経緯についてはあまり知られていないが、このほど現地でメディアの取材に応じたマリー氏がその詳細を明かしている。
コーチ就任前にジョコビッチから「連絡をもらった」というマリー氏は、長年共に“ビッグ4”としてテニス界を牽引してきた盟友から新タッグ結成の誘いを受けることを「全く予想していなかった」そうだ。
その誘いに対して最初は「家族と話し合う必要がある」と回答したマリー氏だったが、結果的に「とてもユニークな機会かつ経験だと思った。試してみてもいいかもしれない」との考えに至り、ジョコビッチに協力することを決断したという。
記者からコーチとしてジョコビッチにどうアプローチしていくつもりなのかを尋ねられたマリー氏は次のように答えた。
「彼が最善を尽くし、できる限りの努力をしているのであれば、彼が望むように自分を表現しても全く構わない。感情的な選手にはそうならないように注意する必要があるとは思うが、反対に全てを抑制するのも正しい方法ではない場合がある。僕自身も選手としてそのような経験があり、他の選手も見てきた。もちろんバランスの問題だし、彼がベストを尽くしている限り、僕はその全てを全面的に支持したい」
なお全豪の男子シングルスのドローはすでに発表されており、同大会2年ぶり11度目の優勝並びに男女を通じて史上最多となる四大大会25勝目を狙うジョコビッチは、1回戦で19歳のニシェッシュ・バサバレディ(アメリカ/133位)と対戦する。新タッグ初戦で好スタートを切れるか注目だ。
文●中村光佑
【動画】全豪開幕前のエキジビションでジョコビッチとマリーが混合ダブルスで対戦!
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