大きな注目を集める全国高校サッカー選手権大会は、選手にとって格好のアピールの場。大舞台でも堂々とプレーできたことで、これまでやってきたプレーに自信が持てるようになり、飛躍を遂げる選手がたくさんいる。4強に進んだチーム以外にも次のステージでの活躍に期待できる選手は多く、ベスト11形式で挙げていきたい。
GKで真っ先に挙げたいのは、37年ぶりの出場で3回戦進出を果たした東北学院高の守護神、GK橋本脩礼(3年)。父・俊一監督との親子鷹で注目を集めたが、「こうやって無失点で抑えた時は脩礼として取り上げてほしい。宮城では僕よりもお父さんの方が橋本で通っているので、脩礼を推していきたい」と同じポジションだった父を超える活躍を誓い、2回戦では好セーブを連発。東北屈指の守護神としての力を示す大会となった。
明秀日立高のDF菅野一葵(3年)は今大会の発見と言える選手だ。181センチの身長は大型化が進むCBとしては標準だが、2回戦では「部長としての責任感が集約されたゴールだと思う」と萬場努監督が称えるCKからのヘディング弾を記録。攻撃性能も高く、前向きでのボール奪取から繰り出す持ち運びや、左右両足でのフィードも光った。
川崎フロンターレ内定の静岡学園高DF野田裕人(3年)も質の高さを披露。この1年は怪我に苦しんだが、12月からは途中出場でコンディションを上げると、3回戦と準々決勝はフル出場。「チームメイトには感謝しきれない。チームメイトがここに連れてきてくれたのにもかかわらず、自分は正直何もできなかった」と悔やんだが、高い技術力を活かした相手を剥がす動きや持ち運びで攻撃のタクトを振るった。
闘志あふれるプレーを繰り返した矢板中央高のDF佐藤快風(3年)、185センチの高さを武器に競り合いと大舞台にも動じないメンタルを披露した札幌大谷高のDF大石蓮斗(2年)も今後に期待したいタレントだ。
中盤でインパクトを残したのは、大津高MF嶋本悠大(3年)。山城朋大監督は「スペースが空いていたり、相手が来てくれると違いが作れるのですが、ずっと捕まっていると本人の良さが出せずに終わってしまう試合もあった」と選手権予選時に話していたが、今大会は警戒網を苦にすることなく、3試合で1得点・3アシスト。清水エスパルス内定の実力を余すことなく、発揮できた。
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15年ぶりの出場で話題を集めた帝京高の主将MF砂押大翔(3年)も大会を彩った1人。「自分は球際やインターセプトを武器にしているので、そこは絶対に負けてはいけない」と話す通り、絶対的な守備力を持つボランチだ。奪ってから素早く左足のキーパスを出せるのも魅力で、京都橘との開幕戦で見せた2点目の形は彼の真骨頂。大学での飛躍にも期待できる選手だ。
高川学園高のMF松木汰駈斗(3年)も今大会で存在価値を示した選手。クロスが魅力のサイドハーフだが、初戦の青森山田高戦では右ウイングバックでプレー。攻守で奮闘しながら、CKで決勝点をアシストした。
前線では堀越高のFW三鴨奏太(2年)と京都橘高のFW伊藤湊太(2年)の将来性の高さを感じさせた。前線での冷静な判断力が光る三鴨は初戦の津工高戦で初ゴールをマークすると、続く3回戦の松山北戦では大暴れ。4得点・2アシストと全得点に絡み、会場を沸かせた。
185センチの高身長とスペースへの飛び出しを兼ね備えた伊藤も今大会で知名度を高めた選手で、開幕戦では得点に至らなかったが、果敢な仕掛けから決定機を量産。2025年度の主役になりそうな2人を追いかけるJクラブも出てきそうだ。
7年ぶりの出場で8強入りを果たした上田西で目をひいたのは、右サイドに入ったFW松本翔琉(3年)だ。予選は怪我で痛み止めを打ちながらのプレーとなったが、高い身体能力を利したドリブルとロングスローで攻撃を牽引。状態が上がった選手権では力強いプレーで、2勝を奪う立役者となった。
プロに進む選手、大学に進む選手、もう1年、高校サッカーを残す選手と様々だが、いずれもポテンシャルの高い選手ばかりであるため、再び多くの人の目に留まる機会は出てくるだろう。
取材・文●森田将義
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