22歳の元全米女王ラドゥカヌを名手マッケンローが分析!「メンタルが身体のトラブルにつながっているのでは」<SMASH>

 18歳で臨んだ2021年の「全米オープン」で、男女を通じて史上初となる予選からのグランドスラム優勝を果たしたエマ・ラドゥカヌ(イギリス/世界ランク60位/22歳)。あの鮮烈な活躍の後、度重なる負傷もあってツアータイトルから見放されている。

 そんな彼女に対し、レジェンドのジョン・マッケンロー(アメリカ)が海外メディア『Express-Sport』で興味深い指摘をしている。いわく「メンタルと怪我には相関がある。だから、どちらがより多くの問題を引き起こしているかはわからない」。つまり、ラドゥカヌのメンタルが身体のトラブルにつながっているのではと疑問を呈したのだ。

 全米を制した後、ラドゥカヌはたびたび身体的な問題に悩まされてきた。とくに2023年の5月に両手首と足の手術を受けて長期離脱するまでは、それが顕著だった。ようやく昨年1月にカムバックした後も、9月に足を痛めて再び2カ月ほどツアーを離れてしまった。

 だが、ここでラドゥカヌはチーム体制をさらに強化する。かつてマリア・シャラポワ(ロシア)や錦織圭、大坂なおみなどをサポートしてきた名トレーナーの中村豊氏を招聘。そうして「今の環境ならほぼ毎日、少しずつにはなるけど、転戦中でも良いトレーニングを続けられると思う」と、万全の状態で新シーズンに向かうはずだった……。
  しかし、今季開幕戦に選んでいた「ASBクラシック」(24年12月30日~25年1月5日/ニュージーランド・オークランド)を背中の故障のため棄権。1月12日に開幕する今季最初のグランドスラム「全豪オープン」はぶっつけ本番で出場することになった。

 こうした苦しい状況にある22歳に対して、マッケンローはそのメンタル面に目を向けた。

「彼女が自分自身を疑っているのは身体的な側面なのか、それとも自分自身を疑っていて、十分にプッシュしなかったのか、逆に頑張りすぎたのか、それはわからない」

 もちろん精神と肉体は深くつながっているもの。彼女が置かれてきた状況や怪我の頻度を振り返ると、妥当な見解なのかもしれない。

 一方で、今季の彼女に期待する声も大きい。女子ダブルスでメジャー21勝を挙げたパム・シュライバー(アメリカ)は、WTA公式サイトで次のように語っている。

「(2024年の)最後の数カ月で見た(試合の)いくつかは気に入った。彼女は本当に才能に恵まれている。(2021年に)あのような普通じゃないことが起こり、彼女とチームは次に何が起こるかわからなかった。結果として、肉体的に対応できなかった。彼女はスケジューリングについて多くを学んだはずで、今年はメジャーの準決勝に進出すると思う」

 実際、2021年全米オープンの後は47勝40敗というラドゥカヌの成績は、昨年1月に復帰したあとに限れば23勝13敗と確かに復活している。全豪オープンでは、初戦の相手が世界ランク27位のエカテリーナ・アレクサンドロワ(ロシア)に決定。厳しいドローとなったが、才能溢れる22歳の新しいストーリーに期待したい。

構成●スマッシュ編集部

【画像】2021年全米オープンで初優勝を遂げた18歳当時のエマ・ラドゥカヌ特集

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