マイアミ・ヒートのジミー・バトラーは、トレード要求を示唆するコメントが発端で現地1月3日から7試合の出場停止処分を科されている。ヒートはトレードのオファーに耳を傾ける旨を公表し、退団の可能性が浮上しているなか、元NBA選手のギルバート・アリナス(元ワシントン・ウィザーズほか)は、パット・ライリー球団社長を非難している。
2019年7月にヒートに入団したバトラーは、25-26シーズンの契約がプレーヤーオプションのため、今季終了後には完全フリーエージェントになる権利を持つ。ただ、両者の間で昨年から続けられた契約延長の交渉はまとまらず、ヒートはバトラーのトレードを検討。行き先はダラス・マーベリックス、ヒューストン・ロケッツ、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、フェニックス・サンズのいずれかになるだろうと12月25日に『ESPN』が報じた。
しかし翌26日、ライリー球団社長が「我々は通常、噂についてはコメントしないが、こうした憶測はチームにとって妨げとなり、選手やコーチ陣に対して不公平であると考えている。そのためはっきりと言っておく。我々はジミー・バトラーをトレードしない」とコメントし、事態は収束したかに思われた。
ところがバトラーは1月2日のインディアナ・ペイサーズ戦後、「プレーする喜びを取り戻したい。支配的な選手に戻りたいし、バスケットボールをプレーしたい。チームの勝利に貢献したいが、今はそれができていない」とコメント。ヒートでそれができるか問われると、「おそらく無理」と答えて波紋を呼んだ。
ヒートは翌3日、バトラーが「チームに損害を与える行為を複数回行なった」として、7試合の出場停止処分を発表。「彼の行動と発言は、もうこのチームの一員でありたくないことを示している。ジミー・バトラーと彼の代理人はトレードを希望している。我々はオファーに耳を傾けるつもりだ」と毅然とした態度を示した。
この一件に、元NBA選手のアリナスが自身のポッドキャスト番組『Gil’s Arena』で言及。ライリー球団社長の過去の功績は、ドウェイン・ウェイド(2006、12、13年優勝)やシャキール・オニール(2006年優勝)、レブロン・ジェームズ(12、13年連覇)らスター選手の力に依存したものとして、その剛腕ぶりを非難した。
「レブロンより偉大なふりをするな。レブロンが来れば優勝できるが、レブロンが去れば船は沈没する。バトラーも優勝のために来たが、もう1人スターを連れてきてと頼み、(ライリーは)そうすると言った。しかしそれは嘘っぱちだ。ヒート・カルチャーを偽ってそんなことをするのか? 彼(バトラー)が去ったら、あそこには誰も来ない。せっかくのサウスビーチなのに、まるで最悪な刑務所のようだ!」
一方、元NBA選手のデマーカス・カズンズ(元サクラメント・キングスほか)は『FanDuel TV』の人気ポッドキャスト番組『Run It Back』に出演した際、「マイアミはまだいい移籍先だと思う。長期的な組織との付き合いを考えると、みんな頭の片隅に置いていると思う」とフォローした上で、ヒートが抱える課題について同じように指摘している。
「ただ、(ヒートは)スーパースターを大事にしないのは明らかだ。シャックは殿堂入りし、歴代トップ10のプレーヤーなのに放出された。D-Wade(ウェイド)は歴代トップ3のシューティングガードで、レブロンは間違いなく史上最高の選手だ。でも、上手くいかなければパット・ライリーはそんなこと気にしない。それが彼のやり方だ」
2月6日(日本時間7日)にトレード最終期限を控えるなかで、1月17日(同18日)のデンバー・ナゲッツ戦から出場停止処分が解けるバトラーには、どのような未来が待ち受けているのだろうか。
構成●ダンクシュート編集部