2025年も数々の人気マンガ、小説の実写化映画が公開予定です。発表の段階ではどちらかというと非の意見が出ることが多い実写化企画ですが、なかには発表時に監督やキャストが作品に合っているなどの理由で、最初からファンの期待値が高い作品もあるようです。
マンガ『ネムルバカ』(徳間書店)
【画像】え…っ? 「主演ふたりもピッタリ」 こちらが実写『ネムルバカ』主人公たちのビジュアルです
原作者と監督が相思相愛
2025年も例年のように数々の人気マンガ、小説の実写化が発表されています。基本的にファンが多い作品ほど、映像化発表の際は「変な改変がないか」「ちゃんと再現できるのか」と不安の声が多く出る傾向があり、2024年好評を博した実写版の『ゴールデンカムイ』や『【推しの子】』も、実写化の情報解禁時は非の意見が圧倒的に目立っていました。
ただなかには最初から「面白くなりそう」と、期待の声の方が多いケースもあります。最近は原作者が以前から好きだった監督が作品を実写化することが決まり、太鼓判を押すコメントが出た人気作が話題になりました。
2006年の連載開始、2008年の単行本発売以降、青春マンガの傑作として読み継がれている石黒正数さんのマンガ『ネムルバカ』(全1巻)は、2025年春に実写版映画が公開されます。大学女子寮の先輩と後輩の日常を描いた本作の実写版を手掛けるのは、殺し屋女子ふたりの緩い日常と激闘を描いた『ベイビーわるきゅーれ』映画3部作とドラマで知られる阪元裕吾監督です。
『ベイビーわるきゅーれ』は主人公ふたりのだらだらした日常のおかしみやかわいらしさも好評で、発表後「アクションのない『べビわる』って感じでゆるく楽しめそう」「モラトリアム期間の女子ならではの雰囲気をあそこまで出せるのは阪元坂監督しかいない」「会話劇うまいし、すんごい納得感がある。なんなら『ベビわる』ふたりが変なTシャツ着がちなのもオマージュかと思ってたくらいだし」と、発表後期待の声が相次いでいます。
原作者の石黒さんも「『べイビーわるきゅーれ』を観た時『そうそう、こういうの! 僕はネムルバカをこういう風にしたかったんだよ』と思ったものです。なんの運命の巡り合わせか、その阪元裕吾監督に『ネムルバカ』を撮っていただく事になりまして。これは大変な事ですよ!」」と、監督への最大限の賛辞、期待のコメントを出しており、2025年の実写版のなかでもかなりの注目作となりそうです。
また、2024年末には発行部数30万部越えのベストセラーとなり、コミカライズもされたホラー小説『近畿地方のある場所について』(著:背筋)の映画化も発表されました。2025年内公開予定の本作の監督は、2024年の『サユリ』の実写版も記憶に新しいホラー映画の名手、白石晃士さんです。
近畿地方の「●●●●●」という場所の近辺で起きる怪異の数々を、雑誌の読者体験談、動画、ネット掲示板など多岐にわたる媒体からまとめたという形の原作は、以前から白石監督の過去作『ノロイ』(2005年)からの影響があるのではないかという意見が読者から出ていました。フェイクドキュメンタリー形式の作りや、徐々におぞましい怪異の正体が分かっていく構成や舞台設定、そして理不尽で救いのない後味なども、確かに似ています。
作者の背筋さんは映画化に際し、「私は長年白石作品に魅了され続けていました。それに飽き足らず、作品から得た恐怖を再現するべく、自ら書いてみようと思いました」「この最大級のラブレターを白石監督がどのように料理してくれるのか。」とコメントしており、白石監督も「原作の得体の知れない黒い魅力を、世界中の人びとに感染させるべく、映像化という呪術を仕掛けていきます」と高い意欲を見せていました。
「時間制限のある映画で、どのエピソードが取捨選択されるのか」「ロケ地はどうするのか」「原作のとある叙述トリックを、映像でどう処理するのか」など、課題はいくつかありますが、ホラーファンを中心に「びっくり系ではない暗く湿ったホラー映画になるんじゃあないか?! 超楽しみ!」「人の怪異に対する好奇心を後悔と恐怖に変えてくる。これを白石監督が映画化って余りにも素晴らしすぎる」「実質『ノロイ』の精神的続編じゃん! 熱すぎ」と熱い期待のコメントが相次いでいます。
また、ホラー関連では泉朝樹先生の人気マンガ『見える子ちゃん』の実写映画も要注目です。ある時から、普通の人には見えない異形な存在が見えるようになってしまった女子高生「四谷みこ」が、彼らを必死でスルーしながら日常生活を送ろうとするというホラーコメディーですが、作中の異形たちのビジュアルはかなり本格的で恐ろしく嫌悪感を催すように描かれています。
実写『見える子ちゃん』を手掛けるのは、「ほんとにあった! 呪いのビデオ」シリーズの演出・構成、映画『仄暗い水の底から』の脚本、そして多くの人がトラウマ級のJホラーとして名前を挙げる映画『残穢 -住んではいけない部屋-』を監督を担当した中村義洋さんです。原作者の泉先生は『仄暗い水の底から』『残穢』が大好きとのことで、中村監督の名前に「一気に期待の気持ちが跳ね上がった」とコメントしています。
実写化発表後、ファンからは「不気味な幽霊ビジュアルがいったいどうなるのか楽しみ」「原作のクリーチャーじみた幽霊で進めるのか、じっとりとした心霊見えちゃった方向を重視するのかが肝になりそう」「CGじゃなくて特殊メイクと造形で頑張ってほしい」など、異形たちのビジュアルを重視するコメントが多く出ており、特殊造形や、中村監督の恐怖演出に注目が集まります。