ホンダは1月10日から、「Honda SPORTS」をテーマにしたCMの放送を開始した。このCMには、通常のシビック・タイプRと、スーパーGTマシンのシビック・タイプR-GTが登場。サーキットを颯爽と駆け抜けていくのが印象的な映像になっている。
ホンダがモータースポーツ色を全面に押し出したCMを使うのは、久々とも言える。これについてHRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長は、「今後こういう取り組みをどんどん増やしていきたい」と語った。
10日から始まった東京オートサロン。その初日には各社のプレスカンファレンスが行なわれた。ホンダのカンファレンスでは、冒頭にこの新しいCMが流された。
ホンダのCMでモータースポーツが取り上げられるのは、比較的珍しいことであり、ホンダとしてモータースポーツへの取り組みをグッと強化しよう……そんな試みが始まったようにも見える。そう尋ねると、HRC渡辺社長は次のように語った。
「まずそう思っていただけるのは、とても嬉しいことだと思います。ホンダのモータースポーツ活動を、HRCというレース専門の子会社に、二輪・四輪、そして北米も含めて集約しました。その目的のひとつには、もっとグローバルベースで発信を行なっていくべきであるという考えがありました」
「我々は今までは、どちらかと言うと開発主体、研究的なことが主体でした。良いエンジン、良いクルマ、世界一のモノを作っていこうということがモチベーションになってきました。でも今回レース専門の会社になったわけですから、もっとお客様と直接接して発信するという、そういう役割も担ってきています。それにはお客様と直接コミュニケーションすること、HRCの名前を使って商品や市販車、パフォーマンスパーツやグッズを作る、そういう方向性もあります」
「これまでアメリカでは、F1を使った企業広告を始めました。今回日本では、スーパーGTとシビックを結びつけたテレビコマーシャルを行ないます。こういうことを、今後どんどん拡大していきたいと思います」
ただ今回のCMは、HRCが発案したものではなく、ホンダ本社が提案したものであるらしい。それを考えると、HRCだけでなく、ホンダとしてのモータースポーツの捉え方が変わってきている……そういう風にも見える。
「ホンダも変わってきているということだと思います」
そう渡辺社長は言う。
「ホンダは、各地域ごとに本部が分かれていて、その本部長による会議というのが行なわれるんです。そこに私も参加して、モータースポーツのお話をしたりしています。各本部長にモータースポーツをもっと身近に感じてもらえるような、そういう活動もしています」
「そうすることにより、モータースポーツをマーケティングに活かしてもらいやすい。そういうことをしながら、活用に繋げていこうとしています。そういう意味では、確かにホンダも変わってきています」
なお今回の”Honda SPORTS”のCMは、クルマが主役。今後、ドライバーなどモータースポーツに関わる”人”が主役になる”Honda SPORTS”のCMなど期待できないか……そう尋ねると、渡辺社長は次のように語った。
「ドライバーであったり、我々の開発だったり、そういう部分にフォーマスしたようなモノ、我々の挑戦に対する情熱みたいなものを表現するというのは、とても良い題材だと思います」
「機械やマシンだけでなく、人にフォーカスを当てるのは、可能性としては十分にあると思いますよ」