1966年『ウルトラマン』の最終話に、わずか数秒間だけ「黒いゼットン」が映り込んでいるという噂があります。果たして本当なのでしょうか?
ウルトラマンを倒す場面を再現した「S.H.フィギュアーツ ゼットン」(BANDAI SPIRITS) (C)円谷プロ
【画像】え…っ? 「胸の黄色い部分」がめっちゃ膨らんでる こちらが「バニー姿美少女」になったゼットンです
後追い世代が「発見」した?確かに映り込んでいた「黒いゼットン」
『ウルトラマン』の最終話である第39話「さらばウルトラマン」に登場した、「宇宙恐竜ゼットン」は唯一「ウルトラマン」を倒した怪獣であり、今なお最強の代名詞的な存在です。さて、そんなゼットンに関して、次のような噂があるのをご存じでしょうか。
「最終話にわずか数秒間だけ黒いゼットンが登場する」
ゼットンのボディは黒ですが、頭部の中央や胸部は黄色く光っており、四肢は白(銀)です。ところがこの「黒いゼットン」は、そのすべてが真っ黒だというのです。
はたして最終話に、そのような「第2形態」のような姿が登場していたでしょうか。ただでさえゼットンに関しては、「1兆度の炎を吐く」など、後になって付与された設定が多いので、この噂も別媒体のものが勘違いされている可能性があります。
ということでさっそく確認してみたのですが……完全にいました。第39話「さらばウルトラマン」に、真っ黒のゼットンが映り込んでいるではありませんか。
「黒いゼットン」が登場するシーンは、番組終盤です。ウルトラマンがゼットンによって倒された直後、「アラシ隊員」と「イデ隊員」が新兵器である「ペンシル爆弾」を携え、ゼットンの至近距離まで走っていく場面で「奴」は出現します。
例の火球が科学特捜隊基地の窓を突き破り、再びカットがゼットンのアップに切り替わると、そこに立っているのは……正真正銘の「黒いゼットン」でした。噂通り、ボディはもとより顔中央、胸部の発光部分もまた漆黒であり、まるで闇そのものが近づいてくるかのような、不気味さを湛えております。
時間にしてわずか3秒程度であり、すぐにまたアラシ隊員とイデ隊員のカットに切り替わってしまうのでした。そして次にゼットンが映る際は、元の色に戻っています。
なるほど「黒いゼットン」の噂は本当でした。いったい、どうしてこのような「黒いゼットン」が挿入されているのでしょうか。これに関しては今なお議論が分かれているのが現状であり、大前提として「演出」だったのかどうかも確証が取れません。
少なくとも単に画面を暗くしただけでなく、発光部分の電飾を切っている(ように見える)点から判断すれば、やはり演出的な意図があったものと信じたいところではあります。
またこの最終話が放送された1967年当時のカラーTV普及率は実に3.3%程度であり、ほとんどの家庭はモノクロTVでした。したがって、そもそもリアルタイム視聴していた子供らは、ゼットンが黒くなったかどうかも判断できなかったのです。
そういう意味でこの「黒いゼットン」は後追い世代が「再発見」したものであり、世代をまたいでなお新しい「謎」が生まれるのですから『ウルトラマン』には夢しかありません。