「新庄は野球の本質をわかってる、甘くみすぎてた」「DeNAは実力での日本一じゃない」…江本孟紀氏は“50-50”大谷もバッサリ!

新年を迎えて、各選手たちの自主トレ開始のニュースが飛び込むなど、球界も本格始動。ファンは開幕が待ち遠しいが、その前に昨年のプロ野球をもう一度振り返っておこう。横浜DeNAがリーグ3位から下克上を成し遂げた2024年シーズンを、歯に衣着せぬ物言いで人気のプロ野球解説者、“エモやん”こと江本孟紀氏はどう見たか。(全3回の1回目)

「新庄監督は野球の本質をわかってる」

――江本さんは昨季のプロ野球をどのように振り返りますか。​

江本孟紀(以下、同) セリーグは戦力が嚙み合ったチームがなくて、8月時点で広島が行くかなと思ったら9月に5勝20敗の大失速。最後に巨人がスルリと優勝してしまったという、なんとも解説者泣かせのシーズンだったね。
まぁ、解説者は毎年泣いてるけど(笑)、私のセリーグ予想は1位と2位が逆なだけで、あとは全部当たってたよ。

――それはスゴイ!

岡田(彰布。阪神前監督)に忖度して、無難に阪神を1位にしてなければパーフェクトだったのに(笑)。

――中日の最下位も的中。

小笠原(慎之介)が毎日ブルペンにダンベルを持ち込んで筋トレしてると聞いて、彼は今年ダメだと思いました。アメリカ(への移籍)を意識してたのかもわからないけど、筋肉ばっかりつけてもね。

自分が信じてやったことに関しては間違いじゃない。でもそれを指摘する人がチーム内にいないと。立浪(和義。中日前監督)はそこに目が届いていなかった。そこが日本ハムとの違いだよね。

――日本ハムは2023年まで中日と同じく2年連続最下位も、昨年は2位と躍進しました。

これは簡単な話で、日本ハムは12球団で一番、完投投手が多い(11完投)。

投手含めて、ひとりがひとつのポジションを最後まで守るのが強いチーム。それが中継ぎの働きで優勝するチームが出ると、新しいもの好きのマスコミが飛びついておだてる。
それに現場が迎合しちゃって、どこの球団も投手に完投させることを怠るの。これは愚の骨頂。野球は9イニングを“細切れ”にするスポーツじゃない。

――そのあたりも新庄剛志監督の手腕と。

チャラけたやつだと思ってたけど、野球の本質をわかっとるんだな。ちょっと甘く見すぎたか。でも甘く見るでしょ。あんな大きなマスクをずっとしてたら(笑)。

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「数字だけ見たら投手としては大谷より俺のほうが上」

――そのなかでパリーグはソフトバンクが圧倒的な強さでした。

貯金42って……こんなに差をつけられる2位以下の球団から罰金取らないと。フロントが安易な監督選びと商業主義で球団経営をやってるからこうなる。

すばらしいファンたちのおかげだよ。ゲームがおもしろくなくても踊ってるお姉ちゃんを見に来て、グッズ買って酒飲んでくれるから球団はどこもお金持ち。

――ソフトバンクは今オフの契約更改で億超えプレイヤーが11人になったそうです。

景気のいいことで。現役時代の俺の10分の1も働いてないのに、年俸は10倍以上だよ。

――そんな強いソフトバンクを日本シリーズで倒したのがセリーグ3位だったDeNA。

短期決戦なんてそんなもん。中日がソフトバンクに勝つことだってあるからね。

いずれにしても、DeNAは実力での日本一じゃないから選手や首脳陣がこれをどう考えるか。システムだから否定する気はないけど、この日本一は手放しで喜ぶほどの価値はないし、選手たちもそういう価値観は持ってないはず。

まあ球団は儲かって浮かれてるだろうけどね。

――メジャーに目を転じますと、大谷翔平選手が前人未踏の「50‐50」を成し遂げました。

肘をケガして一刀流だからできた数字だよね。最初から投手に専念してたら、最終的に250勝くらいしてもおかしくなかったかも。

――盗塁59というのはスゴくないですか?

ただ、向こうは牽制球に制限がある(1打席間に3回目の牽制球でアウトにできないとボーク扱い)んだから、100は走ってくれないと。福本(豊)なんてもっと厳しい時代でシーズン106もしてるんだから。