吉村洋文 (C)週刊実話Web

開催まで100日を切った大阪・関西万博(4月13日開幕、大阪市・夢洲)の前売りチケットが、目標を大きく下回っていることに万博関係者らが頭を抱えている。

「前売りチケットの売り上げ目標は1400万枚だが、昨年末時点で、まだ半数の約746万枚。内訳をみると、万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)が依頼した企業向けは613万枚。こちらは割り当ての80%超えでほぼ達成しつつある。残りは個人購入を当て込んだ枚数です。ところが、個人が昨年末までで47万枚と大きく伸び悩んでいるのです」(万博協会関係者)

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大阪・関西万博の運営費は1160億円が見込まれ、約8割をチケット収入で賄う計画だ。

そのため、販売不振は即赤字に直結するだけに万博協会も必死だ。

「個人売り上げが低迷している理由は明らか。会場混雑緩和のため、事前にインターネットで『万博ID』を取得して、電子チケットを購入する手法を取ったから、伸び悩んでいるんです。背景にはITに弱い高齢者層などが『万博に行きたいが、手続きが面倒』という理由で、購入しそびれているとみられている」(同)

慌てた万博協会では昨年10月から紙チケットも購入可能としたが、それでも前述のように47万枚と低調なままだ。

準備が間に合わず“目玉もない”状態

「不人気は販売手法だけではありませんよ。“目玉がない”ことも指摘されています。例えば、1970年の大阪万博には6421万人が殺到した。当時の大阪万博の目玉の一つは『月の石』、目標の1500万人を大きく上回る2204万人が来場した2005年の愛知万博は『凍結マンモス』。翻って今度の大阪万博は何があるか。当初は『空飛ぶ車』などが想定されたが、準備不足で中止。替わりに『火星の石』や『木製巨大リング』などといわれているが、インパクト不足の感は否めない」(府政担当記者)

大阪・関西万博は、建設費だけでも当初の1250億円から2倍近くの2350億円に増えた。

「運営費も大赤字となれば、またまた血税負担かという空気になり、国民からの怒りが爆発する。もともとあった『万博より能登半島地震の復旧・復興を優先すべき』という声も当然です」(全国紙政治部記者)

チケットの売れ行き不振に万博協会では、会場に近い『USJ』(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を抱き込んでのコラボチケットも想定しているという。

「吉村洋文府知事率いる維新は大阪万博招致・開催にこぎつけ、党勢拡大にもつながった。その万博が目も当てられない大赤字に終われば、維新への期待も一気に失速するでしょう」(シンクタンク関係者)

追い詰められた大阪・関西万博に、起死回生策はあるのか。

「週刊実話」1月23日号より