物価高騰による値上げが止まらず、消費者からは悲鳴が上がり続けている。そんな中で、“手数料”をめぐる値上げが波紋を広げている。昨今話題になっているのは、チケット購入に伴う手数料の改定だ。
手数料だけで1500円以上…値上げが相次ぐ
「チケットぴあ」では、2024年10月1日より各種手数料が改定され、「決済手数料」がコンビニで支払う場合は220円から330円にアップ、「システム利用料」も220円から330円に、「発券手数料」も110円から165円になった。
国内サッカー「Jリーグ」でも、2025年1月7日より「決済手数料」「発券手数料」「システム利用料」が軒並み上昇し、さらに「リセール購入手数料」、「席変更手数料」なるものも値上がりした。
これについてJリーグ公式サイトでは、
〈これまでも、安心・安全なサービスによる信頼の確保に注力してまいりましたが、増大するセキュリティ脅威への一層の対策強化、 システムコストの高騰、取引先へお支払いする各種流通コストの値上げ等、社会的経済環境の大きな変化を受けたものとなります。
お客様の利便性向上に向けたサービスの拡充やサポートの強化、高額転売対策やセキュリティ強化を進めつつも、 コスト削減や運営の効率化等によって、手数料価格の維持に努めてまいりましたが、 その一方で、急速に増大する運用費への対応が急務となっておりました〉
とその理由を明かしている。
しかしこれには反発の声が多い。昨今、物価の高騰によって、多くの人が食品の値上げなどには慣れつつあるが、“手数料の値上げ”と聞くと、「便乗値上げなのでは?」と感じてしまうようだ。
今までもチケットの手数料をめぐっては不満の声があがっていた。例えば、定価5000円のチケットを購入しても、各種手数料を払うといつの間にか6000円近くになってしまっている……なんてことはザラだった。
「決済手数料」「発券手数料」「システム利用料」といった主な手数料のほかにも、「特別先行手数料」で990円、「特別チャージ」で165円なども入っているケースがあり、そうなると手数料だけで1500円を超えることもある。
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「意味不明な手数料が多すぎる」
〈演劇のチケット代値上げはギリ納得できてもチケット販売サイトの謎手数料は心の底から憎む〉
〈謎の手数料を取られることにすでに違和感あるのに、さらになんでお前らが値上げすんねん〉
〈チケット代の値上げと一緒に手数料まで値上がりするの本当に意味がわからないんですけど! 手数料は何が作用して値上げになるか全く不明〉
〈値上げは構わないけど、購入したものを利用する際に必ずお金がかかるのであれば、それってチケット代に含むべきでは?〉
〈チケット手数料まで値上げ。何でもかんでも値上げ値上げ。こっちは音を上げるわ〉
などSNSでは不満の声が続出している。
そこで、そもそもこれらの手数料はなんなのか、そしてなぜ値上げをしなければならないのか。チケットぴあを運営する「ぴあ株式会社」に聞くと、以下の回答があった。
◆決済手数料
定義:収納代行サービス(提携コンビニエンスストア、イーコンテクスト等)を利用するにあたって発生する手数料
課金理由:チケット代金決済に関するシステムや設備、サービス維持、及び取引先に支払う流通コストとして
値上げの理由:取引先に支払う各種流通コストの値上げ、増大するセキュリティ脅威への一層の対策強化、システムコストの高騰◆発券(発行)手数料
定義:チケット発券、及び電子チケット発行を利用するにあたって発生する手数料。
課金理由:チケット発券・発行に関するシステムや設備、サービス維持、及び取引先に支払う流通コストとして
値上げの理由:取引先に支払う各種流通コストの値上げ、増大するセキュリティ脅威への一層の対策強化、システムコストの高騰◆システム利用料
定義:チケットぴあのシステムを利用するにあたって発生する手数料
課金理由:チケット発券・発行に関するシステムや設備、サービス維持のため
値上げの理由:増大するセキュリティ脅威への一層の対策強化、システムコストの高騰
また、1月14日から手数料を改定する「キョードー東京」にも、改定の理由について問い合わせてみたが、サイトに記載されている〈昨今のシステムコストの高騰、チケット流通コストの値上げ等、社会的経済環境の大きな変化を受けたもの〉が理由のすべてで、これ以上は特に答えられないとのことであった。
物価があがれば、当然それにともなってさまざまな場所でコストが増幅する。大切な情報を守るためのセキュリティも、日々進化していく科学技術に合わせて、強化を続ける必要がある。このように物価高騰によって、目に見えないコストも上がり続けていることを理解して、受け入れることが大切かもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部