映画館だからこそ体験できる奇跡の瞬間
たとえば、劇中で面白いシーンがあったときに館内がドッと沸き立つあの雰囲気。大迫力のアクション映画を見た後の、観客たちの興奮の声。見ず知らずの人たちが“映画を観る”という理由で一か所に集まり、一つのスクリーンを全員で鑑賞して感動を共有するあの雰囲気は、生の音楽ライブや演劇となんら変わらない。
〈映画で拍手が出たのは、E.Tのあのシーン、群馬の片田舎の映画館で、小6の子どもだったけどエンディングでまた拍手、映画を通して観客の一体感は凄かった。母と見に行った幸せな思い出〉
〈侍タイムスリッパー。自主映画なのに客席ぎっちぎちに埋まっててさ、観客みんなが同じタイミングで吹き出しちゃうの、すっごく映画館で映画見てるっていう多幸感が止まらなくて幸せな2時間だった。劇場で見るのってあの一体感を味わいたいからなのよ〉
〈劇場内の空気が一体になった清々しい気持ち、映画館でしか味わえないんだよな。『きのう何食べた?』の劇場版を観に行ったとき、明るくなった瞬間みんなが幸せそうな顔してたのもう一回味わいたいくらい良かった〉
といったように、みんなで一緒に映画を見るからこそ味わった最高の体験を語る人も少なくない。
手軽に家でも映画が見られるようになった今、映画館で映画を見るメリットとして、最新作が観られる、大きなスクリーン、大迫力の音響などがまっさきにあげられがちだが、“みんなで見ることの幸せ感”こそ、映画館で映画を見る醍醐味ではないのだろうか。
しかしだからこそ、その雰囲気を壊さないためにも、一人一人がマナーをしっかり守っていってほしい。
取材・文/集英社オンライン編集部