〈産後クライシス〉「使えねーな」イライラを募らせた妻のひと言で離婚危機に…夫婦間のすれ違いはなぜ起こるのか?

雪解けのきっかけは意外にも…

「使えねーな」事件勃発後、家庭内別居状態でのワンオペ育児が4カ月続いたマキさんだが、当時の心境はどうだったのか。

「もう毎日めっちゃしんどかったです。最初は『こんなヤツ離婚してやる』って気持ちが強かったんですが、悶々と考えていく中で、『私も悪かったな』と自身の言動を顧みるようになりました」

きっかけは、“冷戦”状態の夫婦仲を相談すべく義母に頼ったことが大きかった。

「義母に相談するうちに、夫に関するいろんな話を聞いて『だからこういう態度を取るんだな』と理解が深まったのが大きかったです。夫に優しくしようとも思えましたし、息子や自分自身のためにも明るい家庭にしたいと思うようになりました」

その後、マキさんから話し合いを持ち掛け、夫婦仲を改善する方向で話し合いがまとまった。

とはいえ4カ月の“冷戦”状態からの雪解けは、気まずくもあったが、夫からも「体調大丈夫?」「手伝うよ」などの声かけが増えていき、現在は完全に雪解けしたという。

改めて、「産後クライシス」になった原因はなんだったのか。マキさんに率直な疑問をぶつけてみると、

「自分がすごく偉くなったような気持ちになってしまったところです。子どもも産んだし、家事育児全般を担ってて、『自分は偉い』『自分が正しいんだ』と思いすぎていました。

あとはイクメンパパのSNSの投稿を見て、切り取った一部に過ぎないのに、自分の夫に落とし込んで期待しすぎてしまった。期待外れな結果になるたびにイライラしてたし、産後半年間は気性が荒くなる“ガルガル期”も重なり、怒りのコントロールができませんでした」

話し合いの末、結果的にマキさんが家事全般を担いつつも、上手く手を抜くように工夫したことで安定したという。

「結局、分担すると夫のやり方が気になってしまうので。家事全般を担うと割り切ったことで喧嘩もなくなりました。

あとは頼み方も嫌味な言い方ではなく、優しく伝えて、たくさん褒めることを意識しています。多少オーバーに褒めれば、棒読みだったとしても気付かれませんので(笑)」

最後に、「産後クライシス」に悩む夫婦や、出産前に不安を抱える夫婦に何かアドバイスはあるか、と聞いてみた。

「産後は大変で余裕もないし、どうしても『夫が全部悪い』と思ってしまいがちですが、私の場合は『自分にも非がある』と認められたことが解決のきっかけでした。そこから相手に『ごめんね』が言えるようになったり、改善しようという気持ちが生まれたので」

出産は夫婦にとって「幸せのはじまり」であり、夫婦関係が真の意味で試される「正念場の始まり」でもあるのかもしれない。

取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部