エルマノス・ロドリゲス・サーキットで行なわれたフォーミュラE第2戦メキシコシティE-Prix。優勝したのは、日産のオリバー・ローランドだった。昨年タイトルを逃した日産とローランドにとっては、2戦目にして勝利を手にする幸先の良いスタートとなった。
ローランドは昨シーズン、前半戦に4戦連続表彰台を獲得するなど、一時はポイントリーダーに立って選手権の主役となった。最終的には優勝2回、表彰台7回のランキング4位で終えたローランドだが、迎えた2024-2025シーズンも開幕から速さを見せている。
ただ開幕戦サンパウロE-Prixはフロントロウからスタートしてレースをリードするも、終盤にパワー超過によるドライブスルーペナルティを受けてしまい、ノーポイントでフィニッシュとなった。メキシコシティE-Prixでも4番グリッドという好位置からスタートしたローランドだったが、ポルシェ勢にやや押される格好となっていた。
そんな中でローランドはアタックモードを温存し、計8分間使える内の最後の6分間を終盤に一気に使い切る作戦に出た。4番手のローランドは残り9周というところで6分間のアタックモードを起動。しかしその直後にコース上にストップした車両が出てセーフティカーが出てしまい、ローランドのブースト残り時間はその間無情にも減っていった。
このままアタックモードをスロー走行でいたずらに浪費してしまうのか……そう思われたローランドだったが、結果的に運は彼に味方することになる。レース再開を迎えた段階で、ローランドのブースト時間は1分20秒ほど残されていたのだ。無論、セーフティカーが出ていたため隊列は詰まっており、前を行く3台はアタックモードを使い切った状態。俄然有利な状態となった。
ローランドはものの一周でジェイク・デニス(アンドレッティ)、パスカル・ウェーレイン、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(共にポルシェ)をいとも簡単にオーバーテイク。首位に立ち、そのまま逃げ切りトップチェッカーを受けた。
今回のメキシコ戦は総じてポルシェ勢が支配していたレースではあったが、ローランドは彼らに食らいつきながら他とは違う戦略で好機を伺った結果、その戦略が見事に功を奏して逆転を果たすことができた。彼はレース後、「楽しかったし、ストレスもあった」と難しいレースを振り返った。
「朝の予選ではセミファイナルでアタックをまとめられなかったのが少し悔しかった。まあまあという感じだったけど、めちゃくちゃ速かった訳でもなく……でもなんとか4番手に入れた」
「最後のアタックモードの時には、これで前に出てやると思っていた。実際そうなっていただろう。でもセーフティカーが出てしまった。そこからまたポジションを上げようとした時の感情の昂りはすごかったよ」
「(ペナルティで後退した)サンパウロも自分は勝ちに相応しかったと言えるかもしれない。今回の幸運が、あそこでの不運を少し埋め合わせしてくれたと思っている」
2戦続けて高いパフォーマンスを発揮し、ポイントランキングでは2番手となったローランド。前述の通り今回はポルシェ勢のパフォーマンスにはやや及ばなかった感もあり、改善点はあると語るが、冷静になってあまり気にし過ぎないようにしたいと前を向いた。
「効率は十分ではなかったと思う。そこは調べて改善する必要のあるところだ」
「何人かとバトルしないといけなかったので、自分の方でもう少し良い仕事ができたかもしれない。10周を過ぎたあたりでバランスがやや崩れたので、分析しないといけない点があるけど、あまりパニックになり過ぎないようにするよ」