1月5日に放送が開始されたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。江戸幕府公認の遊郭・吉原を舞台とし、第一話から「河岸(かし)女郎」と呼ばれた下級娼家の女郎・朝顔(愛希れいか)が餓死し裸で打ち捨てられるという衝撃のシーンが話題となったが、現在の吉原はいったいどうなっているのか、関係者に話を聞いた。
現代の吉原には「高級店、中級店、格安店」が40店舗ずつ
ドラマでは、花の井(小芝風花)のような「花魁」と呼ばれる上級遊女が常連客を迎えに出向く艶やかな「花魁道中」のシーンも映し出されたが、一方の下級女郎である朝顔は飯も十分に食えず餓死して裸で打ち捨てられる。
当時の吉原内では、店がある場所も上級と下級ではっきりと分かれていた。
花魁がいる店は大店(おおだな)といって街の中心部に、下級女郎の店は街の外周を囲む黒く濁った「お歯黒溝(おはぐろどぶ)」と呼ばれる溝沿いの「浄念(じょうねん)河岸」や「羅生門河岸」と呼ばれるエリアに軒を連ねていた。
現代の吉原にも大きく分けて高級店、中級店、格安店とあるが、店の場所は江戸時代のようにはっきりと分かれているわけではない。
現地を訪れると、遊郭で遊んだ男が名残惜しくて振り返った柳あたりにあったことから名付けられた「見返り柳」はまだ残されていた。吉原大門があったとされる場所には赤い柱が立ち、さらに『べらぼう』ブームに乗って蔦重が開業した書店を模した店などができていた。
吉原に事務所を構え、風俗嬢の宣材写真を撮り続けて14年目になるカメラマンの酒井よし彦氏は言う。
「現在は高級店、中級店、格安店がそれぞれ約40店舗ずつあり、全部でおよそ120店舗あると言われています。江戸時代の吉原と街の面積と道筋は変わっていませんが、エリアごとに店の格が分かれているようなことはありません。
月に80人くらいの女性を撮影しますが、撮影中は女の子から愚痴を聞くこともあります。安い店だから悪い客が集まるなんてことはなく、高い店でもなかなかひどい客が来ると嘆いていますよ」
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「歯ブラシが血で真っ赤に染まるほど重度の歯周病の客も…」
最近は吉原でもインバウンド客を迎え入れる店が増えているようで、文化の違いから女性従業員に対しひどい扱いをしてくる客もいると、酒井氏は言う。
「インバウンド系の客の中でも、『女性は男性よりも劣位にある』という認識が強い文化圏の方は、髪をつかんで無理やり口淫させようとしてきたり、女の子を物のように扱う人も多いと聞きますね」
ただ、日本人客の中にもこんな困った客はいるようだ。
「首絞めが気持ちいいと感じる女性がいるとか、挿入時に腹をパンチするとオーガズムに達するとか、そういう間違った性知識を持ったお客様がいて、それを女の子に試そうとするようです」
実際に風俗店で働く女性数名にも話を聞いた。
最初は格安店、現在は中級店を経て高級店で働く吉原歴5年のAさん(31)は言う。
「格安店では口臭がきつい、爪が伸びてるといった不潔なお客様もいらっしゃいましたが、歯磨きさせると歯ブラシが血で真っ赤に染まっちゃうくらい重度の歯周病の方などもいらっしゃいました。
でも、そんな方ともキスをしなければいけないので、本当にメンタルがやられました。ただ、不潔な方は店のランク問わずいらっしゃいます」