大河『べらぼう』の全裸遺体となった下級遊女よりもひどい仕打ち…現代の吉原の嬢が受ける「梅毒をうつしに来る客」「重度の歯周病の客」のオンパレード

「プレイ後に理不尽なクレームをつけて返金を求められた」

吉原の高級店には “即尺(入浴前に口淫する専門用語)”というプレイがあり、これを求めて来る客も多い。それであえてこんな嫌がらせをする客もいると言うのだ。

「お風呂に何日も入らずに来店される方がいます。高級店でもあまりに汚い方は入店を許可しない店がほとんどですが、独特なルールを持つ老舗店では“どんなに汚くてもお客様だから”と教えられるので、新人時代は涙を堪え、吐き気を我慢して接客をしたこともあります」

また、昨年吉原を引退するまで15年近く高級店で勤務した経験のあるBさん(42)は、こんな客を迎え入れたこともあるという。

「本当に汚くて臭いがキツいお客様が来たことがあります。新人時代なので断ることもできず、まずお風呂に入ってもらいましたが、垢もすごくたくさん出て……臭いも取れないし、そのお客様の後はお部屋が使えないほどでした」

さらにBさんは、別の利用者ではこんなトラブルに見舞われたという。

「偏った知識のお客様が、自分が望んでいたプレイができなかったと怒り始め、受付にクレームを言い出しました。“金を返せ、他店は返してくれたぞ”と。

おそらく他店の返金対応で味を占めて、私の店でも同じようにプレイして返金してもらおうと企んだのだと思います。本当にひどいお客様でした」

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「梅毒に罹患した客」「婚姻届にサインして来店する客」 

また、中には性感染症に罹患しているにもかかわらず、遊びに来る客もいると、Bさんは言う。

「いま現在、梅毒が全国で流行っていますが、近年の吉原で梅毒が最初に猛威を振るったのは2017年頃だと記憶しています。

その当時、梅毒に罹患されたお客様が来店されて、私の知り合いの女の子が罹ってしまったことがあります」

さらに、自由恋愛のもと、体の関係を持つサービスをする店ということもあり、客がストーカー化することも少なくないそうだ。

「あるお客様はお店にサインした婚姻届を持ってきました。その後、私の後をつけて自宅を特定して郵便物を漁った挙句、電話をかけてきました。

さすがにその方は出禁にしましたが、2023年5月に起きた、高級店で女性従業員がストーカー化した男性客に刺されて亡くなった事件の一歩手前のようなことは、吉原で働く子なら珍しい経験ではありません。

体を張って働いているのは、本当に昔も今も変わらないと思います」

現在、三ノ輪の浄閑寺には吉原で命を落とした遊女たちの慰霊のための「新吉原総霊塔」が建っている。

吉原で働く女性が健やかに過ごせることを願うばかりである。

取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班