シナーのドーピング問題、CASによる控訴審は4月実施と決定。審理は非公開<SMASH>

 スポーツ仲裁裁判所(以下CAS)は1月10日に公式声明を発表し、男子テニス世界ランク1位のヤニック・シナー(イタリア/23歳)によるドーピング違反に関する審理を、4月16日と17日の2日間にわたって非公開で実施すると発表した。

 既報の通りシナーは3月に行なわれたドーピング検査で、2度にわたり禁止物質「クロステボル」(筋肉増強効果のある合成アナボリックスステロイド)に陽性反応を示した。シナー側は禁止薬物が体内に入ってしまった理由について、サポートメンバーの1人が自身の傷を治療するためにクロステボル入りのスプレーを肌に塗り、その手でシナーにマッサージ等を施したためだと説明していた。

 シナーには「ITIA」(テニスの不正行為を監視する第三者機関)による暫定的な出場停止処分が科されたものの、異議申し立てが認められすぐさま処分は解除。その後の調査でも、違反が故意ではなく過失もなかったと判定され、シナーの選手資格は停止されずに決着した。
  ところが世界反ドーピング機関「WADA」は、シナーを無実と裁定したITIAに対し、「過失がないという判断は適用規則と照合した上で正しいものではない」として控訴を決行。一部メディアでは2025年初頭に最終判決が下されると報じられていたが、ようやくその具体的な日程が明らかになった。

 なお審理が非公開で行なわれる理由についてCASは「当事者(シナー側)から公開審理の請求がなかった」と説明している。

 ITIAのCEO(最高経営責任者)を務めるカレン・ムーアハウス氏によれば、WADAの不服申し立てが認められた場合、シナーは1年から2年の出場停止処分を科される可能性があるという。果たしてどのような結果が待っているのか、その動向に注目が集まる。

文●中村光佑

【連続写真】軸がブレないシナーのフォアハンドのカウンターショット「30コマの超連続写真」

【関連記事】シナーに長期ペナルティの可能性? 違反と裁定されれば「範囲は1~2年になるだろう」と監視団体責任者が私見<SMASH>

【関連記事】「自分は何も悪いことをしていない」世界反ドーピング機関に提訴されたシナーが苦しい胸中を吐露<SMASH>