マルケス、7度目のMotoGPタイトルは”ボーナス”?「僕の主な目標はすでに達成できている」

 ドゥカティのファクトリーチームで2025年シーズンのMotoGPを戦うマルク・マルケスは、高い期待がかかっているものの、タイトルを獲得できたら”ボーナス”だと語った。

 2023年にホンダを離れるという苦渋の決断を下したマルケスの「計画」は、現在MotoGPを支配しているメーカーであるドゥカティのファクトリーチームにできるだけ早く昇格することだった。

 計8度(MotoGPで6度)の世界チャンピオンであるマルケスが、ドゥカティ上層部を納得させるのに要した時間はわずか数ヵ月足らず。ドゥカティはマルケスをファクトリーチームに加える上で、陣営で育ててきたライダーであるエネア・バスティアニーニやホルヘ・マルティンを手放すなど、極端な采配をしなければならなかった。

 ドゥカティによるコミットメントは、おそらく歴史上最高のライダーのひとりとして称えられるだろうマルケスへのモノなのだから、正当だと考える人も多い。

 一方で2007年以来、苦労を重ねてパフォーマンスを積み上げ、生え抜きのライダーであるフランチェスコ・バニャイヤとマルティンで直近3年のチャンピオンを獲得したドゥカティの”哲学の方向転換”を誰もが理解しているわけではない。

 そんな中で、マルケスがドゥカティのファクトリーライダーとして初年度にタイトルを獲得すれば、そんな声も完全に吹き飛ばすことができるだろう。

 2月17日に32歳になるマルケス。世界選手権で17シーズン、そのうち12シーズンを最高峰クラスで戦い、2013年から2019年の間に6つのタイトルを獲得している。

 2020年に大クラッシュで負傷し、2023年に以前の自分に戻れたと感じるまで、長い回復過程と右腕の4度の手術を必要としたが、その後、競争力を発揮するためのマシンを手に入れることはできず、ドゥカティ陣営のグレシーニへの移籍を選んだ。

「ホンダでは多くのことを達成したし、僕はホンダの一部だと感じている」

 マルケスは『MotoGP.com』にそう語った。

「しかし、今はドゥカティに乗っていて、2025年にはドゥカティのオフィシャルライダーになる。もちろん、自分のブランドのカラーは守ろうと思っている。でも、ホンダは僕のキャリアの中でとても重要な部分だし、最も重要な部分かもしれない。分からないけどね」

 マルケスは、グレシーニに行くという選択肢がなければ「引退していたかもしれない」と認めた。

「ホンダにいたとき、ときどき『ホンダはホンダだ。ホンダだから勝てたんだ』と言われた。でもホンダには他のライダーもいた。もし自分が良いライダーで、ホンダに『お金なんてどうでもいいから最高のバイクが欲しい』と言って行けば、彼らはベストなバイクを与えてくれるだろう。良いライダーならね」

「僕の場合はその逆だった。ドゥカティに行って、『僕は何も気にしない、ただ最高のバイクに乗りたい』と言ったんだ。今なら、引退するときに平穏な気持ちでいられると思える。自分にやれることはすべてやったからね」

 ホンダとの契約を早期終了し、グレシーニへの移籍を選んだマルケスは、個人スポンサーの一部を手放さなければならなかった。グレシーニでの移籍後も、プラマックでの”準ファクトリー扱い”を拒否。最終的にドゥカティ上層部にファクトリーチーム入りを納得させた。

 マルケスはこうしたアプローチについて、次のように語った。

「もちろん、このような移籍をするときは自分自身に大きなプレッシャーをかけることになるし、望みを達成できなければ否定的なコメントもあるだろう」

「でも僕はすでに自分がやりたかったことを達成している。自分のキャリアを伸ばし、もう一度競争力を取り戻すことだ」

「もしまたタイトルを獲得できれば、それはボーナスになるだろう。でも僕の主な目的はすでに達成されているんだ」