世界の果てみたいな海岸「犬の門蓋(いんのじょうふた)」が超絶景だけど怖い理由 / 鹿児島県徳之島

・荒々しさと美しさの共存

島に来る時のフェリー15時間で、この時期のこの海のヤバさを完全に分からされてしまった私。島にまでこんな威力の波が届いているならそりゃあれだけ揺れるはずだ。波の爆発っぷりがディカバリーチャンネルみたいになっている。近づきすぎたらマジで波にさらわれそうだ。

しかし、感動したのはその波しぶきすら青いこと。巻き込まれたら一瞬で死ねるほどの荒々しさにもかかわらず、息を呑むくらい美しい。世界の果てを感じたのはそういう部分かもしれない。

(広告の後にも続きます)

・名前の由来

その地球の脈動すら感じる壮大さは絶海の孤島ならではの光景である。ただ、細部を見ても「犬」は一切感じなかった。この場所が「犬の門蓋」という名前なのはなぜなのか?

実は入口の看板にその名前の由来が書かれていた。サラッと説明文に紛れ込んでいるため、着いた時は読み飛ばしてしまったんだけど、よく読むと「犬の門蓋」の由来はある伝承からついているらしい。看板のその部分を以下に抜粋すると……

「昔大飢饉のおり犬が群れをなし人畜に危害を及ぼしたので、これを捕まえ海中に投げ捨てたことからついたと伝えられている」

──つまり、ここは野犬の処刑場だったわけだ。確かに、あの海は犬かきでは戻ってこられないだろう。時代や背景的に当然のこととは言え、今の時代からリアルに考えるとちょっと恐ろしい由来は日本っぽい。

というわけで、古の日本のちょっと怖い民間伝承が好きな私としては1粒で2度美味しいスポットだったと言える。その壮大さと日本的伝承の共存に徳之島独特の風土を感じたのであった。