「“ジャイアントキリング”を狙うだけではない」英国人記者が指摘。FA杯でプレミア勢と戦う下部クラブの思惑「敵地での試合を切望」「数年分の運営費に」【現地発】

 1月11日、私はスタンフォード・ブリッジで開催されたFAカップ3回戦のチェルシー対モアカム(イングランド4部)を取材した。

 FA杯では3回戦からプレミア勢が登場するが、ほとんどが下のカテゴリーとの試合となるため、それを退屈と感じるファンは少なくない。

 今週末のカードで言えば、アストン・ビラ対ウェストハム、アーセナル対マンチェスター・ユナイテッドなどプレミア勢同士の対戦もあるため、それらのゲームに注目が集まるだろう。

 しかし、下のカテゴリーの小さなクラブにとっては、非常にモチベーションの高いコンペティションだ。それは、この大会の見どころの一つでもある“ジャイアントキリング”だけではない。

 まず、その試合がテレビ中継されれば、クラブの宣伝になるだけでなく、放映権料が入ってくる。また、勝利すれば報奨金がもらえ、勝ち上がるたびにその額は上がっていく。そして最も大きいのは、試合のチケット収入が対戦する2チームで完全折半になる点だ。
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 組み合わせ抽選により、プレミアのクラブとの対戦が決まれば、下部リーグのチームはアウェーでの試合を切望する。なぜなら、相手の本拠地のほうがより多くの観客が集まるからだ。これで得た収入により数年分のクラブの運営費になることもある。

 今回で言えば、収容人数が約6400人のモアカムの本拠地クリスティー・パークと、約4万人を収容できるチェルシーの本拠地スタンフォード・ブリッジでは差は歴然だ。ホームで試合をするアドバンテージを失ってでも、アウェーで試合をするほうがが財政的に見るとはるかに都合が良い。

 モアカムは今回、結果的には0-5でチェルシーに大敗したが、前半はクリストファー・エンクンクのPKをGKハリー・バーゴインがストップするなどの見せ場もあり、わずか1失点に抑え込んだ。

 両チームの圧倒的な実力差を考えれば、十分に健闘したと言っていいだろう。そして何より、いろんな意味で得たものは大きかったはずだ。

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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