女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第13話は「若手からの更年期コール、こう対応」。
【日日更年期好日】
NO!おばさん自認
年齢に抗っていた時期も…(写真:iStock)
「おばさん」とか「更年期」という言葉にやたら敏感で、違和感を抱いていた時期がある。
確か43歳ごろ。通っていたスポーツクラブで、仲良くしていた男性インストラクターがニヤニヤしつつ、こう言ってきた。
「更年期?」
私はその場で憤慨。なぜ更年期という言葉が飛び出る会話の流れになったのかもさっぱり記憶がない。
「え? ねえ、言っていいことと悪いことがある!」
おそらく彼は冗談めいたことを言ったつもりなだけで、そこに悪意はなかった。とはいえ、まだ更年期らしい症状を経験していなかった私にとっては、からかいであり、バカにされたように感じた。当時、年を重ねることに恐怖があったと思う。
デビュー作となった『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ)では、自らをおばさん呼びはしないと書いているほど、年齢に抗っていた。女ですもの、そういう時期も必要です。
今となっちゃ、死ぬことも怖くない独身おばさんに成り上がったと、当時の自分に伝えたい。
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内田有紀だってつらいのに
ありがとう(C)日刊ゲンダイ
先日、こんなこともあった。コーヒーショップで漏れ聞こえてきた女子大学生の会話に、お恥ずかしながら眉をひそめてしまった。
「バ先のおばさん、超カリカリしてるんだけど〜」
「更年期じゃね?」
「それが違うって言うんだよね〜」
「いや、絶対にそうだって(笑)」
ただここで疑問なのは若い女性にとって「更年期」が、老いた女性を卑下する言葉として扱っていること。誰が教えたわけでもなく、どこかで見聞きした適当な情報をそのまま鵜呑みにしているのだから怖い。
でもおばさんを代表して、大学生たちにこれだけは言わせてほしい。
最近、女優の内田有紀が更年期障害に悩んでいると「2024 美的ベストコスメ大賞『ベストビューティ』受賞者発表式」で明かし、話題になった。その時のコメントは「自分の不調だったりを隠さないで話せる時代になってきたな、と思いまして。私もこういうステージで本当は涼しい顔してカッコつけていたりとかしたいんですけど、そうじゃない場合もあります。人間ですから」。
みんな悩んで、抜け道を毎日探している。女子大学生ふたりよ、内田有紀に向かって「おばさん」「更年期(笑)」と言えるのか。すみません、怒っています。