カスタマーパーツ供給に“魔法”はない? レーシングブルズ、レッドブルとの緊密関係に批判も「規則は15年前からF1にある」

 フェラーリとハースのF1での協力関係が注目を集める一方、レーシングブルズ(旧RB)はF1レギュレーションで認められている範囲でできる限り多くのパーツを姉妹チームであるレッドブル・レーシングから譲り受けることにおいて、大きなアドバンテージとなるような“魔法”はないと語った。

 レッドブル・レーシングの姉妹チームとしてトロロッソ、アルファタウリ、RB、そしてレーシングブルズと名称を変更しつつF1を戦ってきたイタリア・ファエンツァベースのチーム。ホンダ製パワーユニット(PU)での最終シーズンとなる2025年シーズンは、レッドブル・レーシングからギヤボックスとサスペンション(フロント/リヤ)の供給を受ける。

 レッドブル傘下チームの緊密な関係性は2024年シーズンはじめ、マクラーレンなどから懸念の声が挙がった。ただ、レーシングブルズ/RBは2023年の成績を上回ろうと奮闘するうちに話題の中心から逸れ、フェラーリをはじめパートナーの外部委託に多くを頼るユニークなビジネスモデルを持ち、成長を遂げるハースに新たな注目が集まっている。

 F1に参戦するチームは“コンストラクター”として独自にマシンを開発・製造することが基本であり、マシンをそのまま流用することはもってのほかだ。しかしPUやギヤボックス、サスペンションなど一部パーツは他からの供給を受けることが可能となっている。

 ただ、ギヤボックスやサスペンションに関しては供給を許し続けるべきかどうか疑問視するチームも。コンストラクターズランキング5位以内に入れば、中団チームにも独自のパーツ生産を義務づけるという提案もあったが、こちらは実現には至っていない。

 一方で、レーシングブルズのメキーズ代表曰く、譲渡可能パーツの存在によって中団以下のチームがシャシーや空力に集中でき、F1全体の競争力が高まっているという。ただ、レーシングブルズの控えめな成績は、一連の譲渡可能パーツが大きなアドバンテージにならないことを示している。

「昨年のはじめには、誰かが『ギヤボックスとサスペンションを手に入れるということで、何か魔法があるのでは』という大げさな話があった」と彼はmotorsport.comに語った。

「しかし、これは新しいレギュレーションではない。15年前からあるモノだし、こういうパーツの供給を受けているチームが突然タイトルを争ったり、トップ3やトップ4を争ったりするのは見たことがない」

「だから、それが現実だ。ロビー活動はF1の一部だけど、グリッドの現実はおそらくこれまで以上に、トップ4とそれ以外という世界になっている。スポーツとして、1部リーグ・2部リーグとなるのを避け、タイトな勢力図の中で20台がレースを戦うために共有可能パーツはあると思う。その観点は、何も変わっていないと思う」

「2026年のレギュレーションで何か別のモノが生まれると期待しているか? 答えはノー。どちらかといえば、2026年当初は戦力差がもっと広がるかもしれない。広がりが大きくなりすぎるのを避けられるなら何でもいいのだ」

 メキーズ代表は、F1が予算制限レギュレーション下で効率性と持続可能性を重視している以上、小規模チームが全てのパーツを自社生産することはいずれにせよ意味がないと主張した。

 メキーズ代表は「自分たちのギヤボックスを持っているかどうか、ファンは気にしているだろうか? しかし、もう少し考えを推し進めることもできる」と疑問を呈した。

「ギヤボックス開発にそんな大金を費やすのは正しいことなのか? 何のために? 予算を抑えて戦闘力のばらつきを少なくしようとしている今、賢明な決断だったと思う」

「我々やハースのようなビジネスモデルは、これ以上人数を増やさなくても成り立つ。我々は中団チームで、(従業員数は)600人以上。2台のマシンを走らせるには十分なはずだ……!」