様々なカルチャーを楽曲やビジュアルに落とし込み、活動そのものを“MUSIC THEME PARK=音楽のテーマパーク”として、高いエンタメ性を表現しているBabyKingdom。
2024年10月には、メキシコの伝統文化“死者の日”をコンセプトに取り入れたシングル「CALAVERAS/サルサルーサ」をリリースし、ビジュアルだけでなく、サウンドにもラテンテイストを取り入れて話題に。しかも、このシングルは本場、メキシコにもSNSを通じて広がり、現地では新たなファンも獲得した。その「CALAVERAS/サルサルーサ」を掲げ、リリースツアー<winter oneman tour『PARADISE OF THE DEAD』>を行ってきた彼ら。2024年12月29日には、そのツアーファイナル公演を池袋harevutaiで行った。その仕上がり具合を目撃すべく、当日会場に足を運んだ。
開演前の会場は“ばぶりーず”(ファンの呼称)でビッシリ。すでに熱気が充満する場内は開演時刻とほぼ同時に暗転した。ミラーボールが回り、ステージ背面の大スクリーンには、キュートなガイコツが映し出される。まさにアトラクションが始まるかのような演出に、ばぶりーず達は手拍子でメンバーの登場を待った。
そしてステージにカラフルなメキシコ風衣装を身に着けた虎丸(Dr)、もにょ(B)、志記(G)、そして咲吾(Vo)が現れ、大声援を受ける。この日のオープニングナンバーは「PENGUIN DIVE」。前向きな気持ちにさせてくれるポップな冬ソングだ。観客は冒頭から一斉にジャンプ。2曲目の「FUNNY∞CIRCUS」でもライブ後半のようなアツいノリで反応。会場後方の一段高くなったエリアでは、リアルに床が揺れるほど。さらにヘヴィーな「MUDDY CANDLE」が続き、場内はジャンプに加え、ヘドバンで荒ぶる展開に。畳みかけるように「蛇ニンゲン」や「ユーレイ☆になっても愛してる」などのキッチュな暗黒ワールドをフィーチャーした楽曲を連発して、ひたすらノせまくる。曲終わりで咲吾は「今日1日、最高に楽しもう!」と、呼びかけた。
さて、次なるブロックではさすがにテンポを落とすのかと思いきや、ここでパラパラチューンの「監獄☆BEAT」を投入。虎丸がドラムセットを離れ、センターに出てくると「BabyKingdomの振りとしては最高難易度の曲を今から皆さんにやってもらおうと思います!」 すっごい難しい曲がくるよ~! ついてきてね!」と言い、曲が始まると咲吾と虎丸は鮮やかなパラパラダンスを披露。圧巻なのはばぶりーず達の完璧な踊りっぷり。しろ虎丸が観客の振りを参考にしているのでは?……と思うほど。振りが苦手なお客さんでも、これは楽しいだろう。そんなキラキラの世界が繰り広げられたあとにはガチガチのメタルナンバー「AVARITIA」を投下。志記はここぞとばかりにヘヴィなギターソロを弾きまくる。先ほどまでパラパラを踊りまくっていた観客は、ヘドバンと折り畳みで、イカついスタイルに様変わり。続く「BANG UP」でも、ロックバンドならではの力強いパフォーマンスを見せつけた。
このあと、聴かせ曲「deep blue」で、聴く者をグッと引きつける。ここは、BabyKingdomの重ためな曲を並べたブロック。「ダクラメント」では、重厚ながらもメロディックなロックサウンドで、エモーショナルに聴かせ、「VILLANS PARTY」では咲吾もギターを手に取り、音に厚みを出していく。そして、志記は自由度の高いギタープレイで見せ場を作っていった。そして、中盤ブロックを締めくくったのは「ハナムコペンギン」。ウェディングソングでありながら、ポップさもハードさも楽しさも全部が詰まった曲で、ばぶりーずは手でハートを作ったり、頭を振ったり、ジャンプしたり、声を出したりと、フルスロットルのノリを生み出した。
激しめのブロックを終えて、ライブはMCタイムへ。咲吾は「次の曲はモンチッチとのコラボ曲!……登場してもらいましょう!」と、モンチッチをステージに呼び込む。もちろんホンモノだ。しっかりBabyKingdomのコラボTシャツを着ているのがまた愛らしい。かぶりものやボリューム感のある衣装で目を引くもにょとも互角の存在感だ。咲吾は「かわいい~!」と思わずモンチッチをハグ。さらにモンチッチはもにょともしっかり絡んで、メンバーに負けないキャラをアピール。すっかりモンチッチがバンドになじんだところで、このコラボのために書き下ろされたキュートなラテンナンバー「サルサルーサ」へ。モンチッチも“ばぶりーず”と共に完璧なフリでライブを盛り立てる。モンチッチは次の「アイシングシュガー」までステージに花を添えてくれた。曲が終わり、モンチッチは退場。
こうして本編は3曲を残すのみとなる。もはや思い残すことのないように、全身で楽しむしかない。ここで海賊になり切れるアッパーチューン「首領!BURACO」が飛び出す。ばぶりーず達はフロアを右や左へ移動。本編が大詰めになっても観客のパワーは衰え知らずだ。「めっちゃアーメン」を経て、ラストのアトラクション「CALAVERAS」へ。BabyKingdomが“死者の日”というテーマを通して“今を生き、楽しもう”という前向きなメッセージを込めた重要な曲だ。「サルサルーサ」と共に、メキシコで共感を呼んだこの曲は、バンドにも大きな自信をもたらした。ノスタルジックなメロディーとラテンサウンドを融合させたこの曲で、彼らはその可能性を大きく広げたように思う。
本編終了後、何と、彼らは3月12日に新アトラクション(=新曲)「SEIMEI」のリリースを発表。それに合わせて<spring oneman tour『悪気滅殺~陰陽道~』>も決定。ツアーファイナルは5月31日 神田スクエアホールにて。アンコール前には「SEIMEI」のビジュアル映像も流れ、その完成度の高さにまた驚かされた。ツアーやイベントライブへの出演もあった中、いつの間に構想を練っていたのか……。
アンコールでは発表した「SEIMEI」の“和”の空気を読んで「我武者ライジング」をプレイ。ばぶりーずはすかさず盛り上げグッズのセンスを掲げ、勇ましい曲を盛り立てた。アンコールでは「カマッチャイナ!」「ハーレクインの憂鬱」「GOLD」と、乱れ打ち状態。アンコール最後は「誰かのヒーロー」。咲吾は、ヒーローなのはバンド側だけではない、「みんながヒーローです」と付け加え、最後は場内の合唱を引き起こした。BabyKingdomの曲とライブがどれだけ多くの人を笑顔にするのか……。その理由が伝わってくる気がした。加えて、咲吾のライブ運びは秀逸。曲の中で「デスボーイス!」と促して観客の声を引き出したり、まるでコンダクターのように場内をのせていく。この進行のウマさは、ボリューム満点のライブをスムーズ感じさせるワザなのかもしれない。
こうしてアンコールまで完走した彼らだったが、「もう1曲やろう!」と、咲吾が宣言。昔からある大事な1曲「Baby bird」をプレイして、濃度の濃いツアーファイナルを締めくくった。次々に尽きることのないアトラクションで攻めてくるBabyKingdom。その表現力と制作欲には圧倒されるばかりである。以前のインタビューでも「やりたいテーマがたくさんある!」と語っていたが、その言葉にウソはないようだ。2025年、BabyKingdomが放つ「SEIMEI」のパワーにも注目したい。
文◎海江敦士
写真◎菅沼剛弘
19th Single 「SEIMEI」
2025年3月12日(水) リリース
【初回限定盤 A type】 CD+DVD
品番:AMFD-1027 価格:¥1,980(税込)
[CD]
1. SEIMEI
2.水天一碧
[DVD]
「SEIMEI」 MV & メイキング
【通常盤 B type】 CD
品番:AMFD-1028 価格:¥1,650(税込)
[CD]
1. SEIMEI
2.水天一碧
3.花鳥風月
4. SEIMEI (inst)
5. 水天一碧 (inst)
6.花鳥風月 (inst)
A/Bタイプ共通 封入特典
※初回プレスのみトレカ1枚ランダム封入(全8種の内)
<BabyKingdom spring oneman tour 『悪気滅殺~陰陽道~』>
2025年
3月15日(土) OSAKA MUSE
3月20日(木祝) SHIZUOKA Sunash
3月22日(土) 柏 PALOOZA
3月23日(日) mito LIGHT HOUSE
3月30日(日) 仙台 MACANA
4月5日(土) 札幌 Crazy Monkey
4月6日(日) 札幌 Crazy Monkey
4月12日(土) 広島 SECOND CRUTCH
4月13日(日) 高松 DIME
4月19日(土) 名古屋 ell.FITS ALL
4月29日(火祝) HEAVEN’S ROCK 宇都宮2/3 (VJ-4)
5月3日(土) 新横浜 NEW SIDE BEACH!!
5月4日(日) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
5月10日(土) 神戸 太陽と虎
5月11日(日) KYOTO MUSE
5月15日(木) 福岡LIVEHOUSE Queblick
5月17日(土) 滋賀 U☆STONE
5月25日(日) 浜松 FORCE
TOUR FINAL
5月31日(土) 神田スクエアホール
チケット情報 (※ファイナル公演を除く)
【前売 / 当日】 ¥5,500 / ¥6,000 (税込) ※Drink代別
・3月15日(土) OSAKA MUSE ~ 4月29日(火祝) HEAVEN’S ROCK 宇都宮2/3(VJ-4)
【プレオーダー】 2025年1月8日(水)12:00 ~ 2025 年1 月15日(水)23:59
【一般発売】 2025年1月29日(水)12:00 ~
・5月3日(土) 新横浜 NEW SIDE BEACH!! ~ 5月25日(日) 浜松 FORCE
※もにょバースデーは別期間での受付
【プレオーダー】 2025年2月5日(水)12:00 ~ 2025年2月12日(水)23:59
【一般発売】 2025年2月26日(水)12:00 ~
ファイナル公演チケット情報
【前売 / 当日】¥6,000 / ¥6,500 (税込) ※Drink代別
【プレオーダー】 2025年2月19日(水)12:00 ~ 2025年2月26日(水)23:59
【一般発売】 2025年3月12日(水)12:00 ~