「日々リオネル・メッシに似てきている」スペイン紙編集長がマドリー戦で活躍のヤマルを激賞! 「現サッカー界のキングの仲間入りを果たした」との評価も

 3年連続の”エル・クラシコ“となったスーペル・コパ・エスパーニャの決勝は、主力の1人であるフェデリコ・バルベルデが「(0-4で敗れたラ・リーガの)リベンジを果たしたいという気持ちでいっぱいだ」と決戦前に闘志を燃やしていたレアル・マドリーが、2-5と大差で敗れバルセロナの返り討ちにあった。

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 しかも、前半をスコアレスドローで折り返したラ・リーガでの第1ラウンドとは異なり、前半だけで4ゴールを奪われ、後半開始早々にも5失点目を喫するという終始圧倒されての敗北だった。「2点奪えたのが救いに思えるほどのおぞましい敗戦」マドリディスタであることを公言しているジャーナリスト兼作家のマヌエル・ハボイス氏の一般紙『エル・パイス』のコラムのタイトルが、その衝撃を物語っていた。

 この結果を受け、バルサOBのティエリ・アンリによる「すべてのヨーロッパのクラブはマドリーを恐れ、マドリーはバルサを恐れている」というSNSでのつぶやきが現地で話題になっている。

 確かにここ5年程の成績はマドリーの方が分がいいが、2005-2006シーズンの3-0の勝利(敵地サンティアゴ・ベルナベウでロナウジーニョがスタンディングオベーションを受けた試合)を皮切りに、バルサは今世紀、たびたび宿敵相手に大勝を飾っている。その象徴がジョゼップ・グアルディオラ政権時代における2008-2009シーズンの6-2の勝利で、過去15年においてはマニータ(手のひらの意。5得点勝利を指す)の達成も今回で3度目だ。
  56分にバルサGKヴォイチェフ・シュチェスニーが退場になり、直後にロドリゴのゴールで3点差に詰め寄ってマドリーの反撃ムードが高まるかと思いきや、「11人対10人という数的有利な状況でも、マドリーはバルサのラックを揺さぶることさえできなかった。バルサは守りを固め、時計の針を進めるだけだった。終盤は退屈で、試合の格を下げるものですらあった」とスペイン紙『AS』の前編集長、アルフレッド・レラーニョ氏が指摘するように、バルサがそのまま難なく逃げ切った。近年チャンピオンズリーグ(CL)をはじめ、いくつかの大舞台で驚異の粘り腰を発揮し、劇的な逆転劇を幾度も演じてきたマドリーの面影はまるでなかった。

 クラシコでの連敗を筆頭に今シーズンは、強豪相手にことごとく力負けを喫しており(唯一の勝利はCLのボルシア・ドルトムント戦)、『エル・パイス』紙のマドリー番記者のダビド・アルバレス氏が「マドリーは、守備システムにおける前線の選手たちの献身性の向上を復調への自信の礎にしていた。しかし現状、そのパフォーマンスレベルが通用するのは、実力的に中堅のチームと対戦した時だけだ。強豪相手では守備が崩壊することが改めて明らかになった」と強調するように、厳しい現実を突きつけられた敗戦となった。

 一方、バルサは開幕以来、数年前とは打って変わって強豪相手に力強い戦いを披露しており、フリージャーナリストのアドリアン・ブランコ氏が「フリックのサッカーは、閃き、激しさ、集中力といった面において最大限まで引き上げることを課すが、選手たちは見事にその要求に応えている」と評価するように、クリスマス休暇を経て序盤の勢いが戻っている。

 その中でも注目が集まっているのが、世界最高のGKとの呼び声が高いティボー・クルトワが守るゴールにこともなげに同点弾を流し込んだラミネ・ヤマルだ。スペインのスポーツジャーナリズム界の重鎮、サンティアゴ・セグロラ氏が「スーペルコパを経て、ヤマルは完全に現サッカー界のキングの仲間入りを果たした」と激賞すれば、スペイン紙『スポルト』の編集長、ジョアン・ベリス氏は、「日々リオネル・メッシに似てきている」と明言。17歳の新エースを擁したフリック・バルサが、勝負の後半戦への狼煙を上げる初タイトルを獲得した。

文●下村正幸

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