「機動戦士ガンダム」シリーズのシャア・アズナブルは多くの作品に主要人物として登場し、そして彼に関わった者はことごとく不幸な末路をたどったように思います。貧乏神もかくやといわんばかりの不幸のまき散らしぶりを見ていきましょう。



キャスバルからシャアへ名前を変えるまでのあいだも周囲に不幸をもたらした。「機動戦士ガンダム シャア・アズナブルぴあ 完全版」(ぴあ)

【画像】「えっ…みんなマジ不運」こちらがことごとく不幸をこうむるシャア関係者の皆様です(5枚)

関わったら最後!? 不幸をまき散らすシャアの周りに幸せだった人物はいるのか?

「機動戦士ガンダム」シリーズの重要人物「シャア・アズナブル」に関わった者は、ことごとく不幸な末路をたどります。幸せになった人物はいるのでしょうか?

 シリーズを通し、シャアに関わったがゆえに不幸を喰らった最初の人物として挙げられるのは、いわずもがなで彼に謀殺された「ガルマ・ザビ」でしょう。「一年戦争」の前日譚から描かれた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』ではどうだったでしょうか。

 ガルマはザビ家の御曹司であり、士官学校時代、周囲は敬意含みの距離感で付き合っていましたが、シャアはそれとは一線を画し、遠慮のない良いライバル関係、友人としての関係を保っていたように思います。のちの「暁の蜂起」でガルマが指導者として名を高めたのは、シャアの助言があったからに違いありません。

 このように、シャアという唯一の友人や、恋人のイセリナが近くにいた日々は、ガルマにとって幸せを感じるひと時だったでしょうが、謀殺されては、やっぱり末路としては悲惨なものでした。

 同様に一年戦争前後では、シャアは「ララァ・スン」をアングラな世界から救い出しました。その後、ララァは恋愛感情を持つようになる一方で戦争にも参加し、結局、戦死してしまう結末は、拾われて充実した幸せ一転、不幸へ収束したと言わざるを得ません。

 そして、「クワトロ・バジーナ」として活動した『機動戦士Zガンダム』の時代はどうでしょう。エゥーゴの「カミーユ・ビダン」「アポリー・ベイ」「ロベルト」「ブレックス・フォーラ」、そして男女関係にあったとされる「レコア・ロンド」がシャアと関わり、無惨な末路をたどっています。

 そして「ハマーン・カーン」は、シャアに恋心を抱くような関係にありました。劇中、ふたりの2ショット写真のようなものが登場したり、シャアに対し「私のもとへ戻る意思があるか」といった問いかけをしたり、恋なのかザビ家再興の野望なのかわかりませんが、好意をのぞかせています。乙女(?)の部分をチラつかせ、シャアと野心を遂げようとしますが、『機動戦士ガンダムZZ』での最期を見るに、シャアに翻弄されたひとりと受け取るのがすわりもいいでしょう。

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、父性を求め好意を抱いてきた13歳の少女「クェス・パラヤ」を戦争の道具のように扱った挙げ句、戦死させました。

 シャアの恋人であり戦術面でのサポートも担う「ナナイ・ミゲル」の扱いも大概なものです。常にシャアを案じ「アムロを倒したあとは?」とのナナイの問いにシャアは「ナナイの言うとおりにする」と甘言で安心させます。しかし、「アムロ・レイ」との一騎打ちで、ナナイが心配する思念を感じたシャアは「男同士の間に入るな!」と恫喝し、ナナイ(引いてはネオ・ジオン)をよそに、決着にこだわります。それでもナナイは、シャアを最期まで気にかけ号泣、彼女の本懐はかないませんでした。

 上記のように、関わった人々をことごとく不幸に落とすシャアですが、この因果な連鎖を断ち切ったのが、最も深い関わりを持ったアムロでした。

 一年戦争にはじまり、グリプス戦役、第二次ネオ・ジオン抗争と、シャアと向き合ってきたアムロも、決して幸せな最期ではありませんでしたが、不幸の元凶を道連れにしたことは、その後、無尽蔵に増える可能性のあった「被害者」を食い止めたといえ、それは大きな功績だったのではないでしょうか。