「ニチガク」破産は始まりにすぎない!? 「東進ハイスクール」「早稲田アカデミー」など大手躍進の裏で7期連続赤字の会社も…予備校・学習塾の大再編時代へ突入か

大手はマス広告から手を引き始めたか?

興味深いのは大手の広告宣伝費が下がっていることだ。

ナガセは2019年3月期の売上高広告費比率が13.6%だったが、2024年3月期は7.9%だった。早稲田アカデミーも同じ期間において、6.0%から3.9%に下がっている。

名のある学習塾や予備校はテレビや新聞、公共交通機関などに大量の広告を投下して集客するのが一般的だった。

一方、中小の運営会社はポスティングや看板、リスティング広告などエリア限定の手法を使って集客しており、集客手法の棲み分けができていたのだ。

今後、大手がマス広告からローカルマーケティングへの移行が進むと、中小の運営会社が影響を受けることになるだろう。

生徒との接点が多いことも集客メリットとなる。

2020年に臨海セミナーの運営会社に対し同業他社が業務改善を求める申入書を送付していたことは記憶に新しい。これは、塾の生徒を通して個人情報を集め、それを勧誘に使っているというものだった。

これは悪質なケースだが、学習塾や予備校による生徒に対する季節講習などの勧誘は少なからず存在する。塾経営においては、いかに多くの生徒や親と接点を持つかが重要なのだ。

東京商工リサーチによると、2024年の学習塾の倒産件数は53。2000年以降で過去最多となった。

中小の運営会社の倒産またはM&Aによる再編が加速する未来が見えてくる。

取材・文/不破聡 サムネイル/Shutterstock